書斎

□キオク
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『…シンタロー』

………………………だれ?

『私だよ、忘れちゃった?』


ぼんやりと霞む視界に映る、赤いマフラー。



君は…誰?



『死んじゃったんだ、ごめんね…』

『サヨウナラ、しよっか』

どうして…
俺は…君を傷つけたのか?


『ううん、私が勝手に…消えようとしてるだけ…』

すごく大事なことのはずなのに、思い出せない


『……それで…いいんだよ…シンタロー……』


赤いマフラーの女の子は、その場にスタリと倒れた。
身体が勝手に彼女の元へ駆け寄る。


『…ひとつだけ…お願いがあるの……』

なに……?

『…愛を…忘れない…で……』


そう呟いた女の子は、その赤いマフラーを俺に渡した。


愛…?


『それ…だけは……忘れないで……』


俺が赤いマフラーに触れた途端、走馬灯のように記憶が流れ込んでくる。


…この子…は……!!


「だめだアヤノ…!また二人で一緒に帰ろう……!!」


そう叫んだと同時に、俺は目覚めた。



「……ゆめ…………」

イヤな夢を見た。
どうしてこんなにも明確に夢を覚えているんだろう。

あれは…あいつの死に様だった。
愛を忘れるなと、俺に言った。

愛って…なんだよ………

俺は…もうそんなの忘れちまった。


深いため息とともにPCをつける。


『……ご主人…』

心配したように俺を見ているのは、何故だ?

「…なに」

『あのさっきの…カノさんとのあれ…ほっといていいんですか?』


…………あぁ。
そうだった。俺は眠る前、…。

『…すごい落ち込んでますよカノさん』

「元はといえばあいつが悪いんだ。俺は別にどうでも___」

『ご主人だって、好きなんでしょう?』

「…………知るか。」


『私的には…妹さんに嫉妬してるように見えますが』

「なっ…!嫉妬なんて…んなことっ……」

これだけ慌ててしまう俺自身も、これが嫉妬であることは解ってしまう。

ただ、それを認めたくないだけで。

『素直じゃないと愛されませんよー』

腕を組んで熱弁するエネの、その言葉が引っ掛かった。


……愛されない。


素直に生きてこなかったから、掠れた過去を抱いたままだったから…


『ご主人も少し素直になったらどーですかー?もっとひねくれますよ……』


俺の素直な気持ち…
カノさんに対する感情って……


「「好き」」…?


「俺…嫉妬してたのかよ……」

『おっ!認めた!さっすがご主人ー♪ちゃんと伝えるべきですってー♪』

「…どうせ録音したいだけだろうが」

『…げ、ばれた。』

…ったく…


「……ちょっと…行ってくる」


俺は夢で見た『愛』を思い出すために、
自分の気持ちを知るために、

部屋の扉を開いた。









c o n t i n u e



**********

重い。すみません。
でも大丈夫です!次回には、またラブラブなってますよ。
二人の事だから。うん。!

シンタロ「なんだよこの乙女モード全開な俺は。」

Aren「だって鹿野さん喜ぶんだもーん」

シンタロ「うっ…(カノさんが嬉しいなら…//)」

Aren「ヌルフフフフフフフ…(爆」



タロスの夢はKHネタ使っちゃったん∀





次回もよろしくです^^^^^

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