ホラゲー置き場
□そのレンズ越しに
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異次元の人。まるでそう思った。
休み時間には誰かと話しているのを見たことがなかったし、いつも「虫の観察」「読書」「ノートに方程式をひたすら書く」などとお決まりのパターンしか彼にはなかった。
特に最後の方程式をひたすら書くだなんて不気味にすら思えてくる。
クラスの中ではずばぬけて大人びていたしいつも敬語だったし。女子と話してるのはほとんど見たことないかなー。
___そう、そんな彼は私のタイプどストライクなのだ。
『ひーろしくんっ』
「なんでしょう?」
『一緒に帰ろー!』
「僕とですか?寄り道しますがそれでもいいならば。」
『やったー!やっと一緒に帰れる!』
私達は付き合っているわけではない。
この超不思議男子ひろしを恋愛感情で好きなのはこの私しかいないだろう。
入学したときは皆そのシャープな顔立ちに顔を赤くしていたのだが性格を知った途端恋心も冷めてしまったようだ。
もー。皆は全然分かってないよね!
この不思議で何考えているのかさっぱり分からない所がカッコイイのに!
不思議で真面目でメガネが似合う人がタイプな私はそりゃもうひろしくんに一目惚れなわけで。
今日もこうしてアタックしてはいるものの、ひろし君相手にはまったく歯がたたない。
「・・・##NAME1##さん?」
『え?』
「どうかしましたか?」
『う、ううん!ところでさ、寄り道ってどこ行くの?こっちは裏山方面だよね?』
裏山に用があるのだろうか?もしかしたら昆虫採集でもするのかもしれない。
だとするならば、私は黙って見ているしかできない。
『昆虫採集でもするの?』
「はい、そのつもりです。」
『そっか。やっぱひろし君は変わってるなー。』
「そうでしょうか?」
『おー。あははまさかの自覚なしかー。』
「僕には##NAME1##さんの方が変わっていると思いますよ。」
『・・・え、私が?』
「そちらこそ自覚なしじゃないですか。」
ひろし君がフっと微笑む。
私はその妖艶な微笑みに見とれてしまいそうになる。心臓は早鐘をうち、ひろしくんのメガネのレンズには情けなく顔を真っ赤にさせた私が映っていた。
『わ、私って変人かなー?』
「はい、こうして僕に付き合うこととか。」
『え、だってひろしくんと一緒にいると楽しいし...。』
危うくひろしくんが好きだから。
と言ってしまいそうになったが、水筒のお茶と一緒に飲み込んだ。
「僕も##NAME1##さんといると楽しいですよ。」
『え、本当!?』
「ええ。僕ら変人同士、上手くやっていけそうですね。」
そういう彼の表情は私にしか見せない楽しそうな表情をしていて。
それだけで私は優越感に浸りながら幸せの波に溺れるのであった。
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あれ、ひろしくんってこんな性格だっけ?(;´∀`)