『ユウスケと36人の兄弟たち』

□第八話
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「御字川なにやってんだ」

『あっ先生!?』


いきなり声をかけられとっさに銅を目の前の体育倉庫に隠す。


「もう授業終わりだ。お前体育委員だろ、このボールとボード体育倉庫に片付けておけ」

『はっはい…!!』


先生はバスケットボールの入ったかごを指差し体育館から出て行く。

やばいやばい、銅を追い返そうとしているうちに授業が終わってしまったようだ。



『お前体育委員なんだ。あんま運動神経いい感じしねえけど』


体育倉庫内は薄暗くてほこりっぽい。はやく外に出たいので急いで片付ける。銅は積み重ねられたマットの上に座っている。


『余っちゃってじゃんけん負けたんだよ…』

『情けねえな』

『うるせー…ほらおれも片付け終わったんだからお前も帰るぞ』

『しゃーねーな…』


銅が立ち上がろうとしたその時…


ガシャンッ


『!?』


後ろのドアが勢いよく閉まった。


ガチャガチャ…

『えっ、ちょ…?!』


ドアを開けようとする。が、開かない。外から鍵が閉められたようだ。



…嘘だろ…
閉じ込められてしまった……


.
.
.



この体育倉庫には窓はない。強いて言うとすれば上の方にがっちりと格子のついているはめ殺しの窓と、換気扇だけだ。


『密室だ…』



どうしよう…今のが6時限だったからもう授業はない。その上テスト前で部活動も全部やらないんだよな…

このまま明日までここに閉じ込められたままか…?!

いや、焦るな…おちつけ…孝太郎とかが、おれたちがいないことに気づくはずだ…うん、大丈夫、絶対気づいて探してくれる……



『はぁ…にしても誰だよ閉じ込めやがって…』

『…俺ちらっと見えたぜ』

『ほんとか?!どんなやつだ?!』


マットの上に寝っ転がっている銅。薄暗くてよく顔が見えない。


『あのクソ野郎だ』

『あのって……まさか水川か?!』

『たぶんな…次会ったらぶっ殺してやる』



水川が……たしかに可能性は高いな。こないだのことでおれたち2人に敵意を抱いている。

ドアが閉まった時銅はドアの方向を向いていて向こうから見えたのかもしれない。おれと銅が一緒にいるのをみてあいつが……



最悪だ。
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