『ユウスケと36人の兄弟たち』

□プロローグ
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コンコンコンコン
「旦那様」


ちびまる子ちゃんに出てくるヒデじいのような執事に案内され、ある部屋にたどり着く
この大豪邸の主人の部屋のようだ



「雄亮様、どうぞお入りください。中でご主人様がお待ちしております」


ヒデじい(仮)に入るよう指示され、
おれは緊張しながらも恐る恐る足を踏み入れた





『待っていたよ、ユウスケくんだね』


とてつもなく広い部屋の奥には6、70代くらいだろうか、立派な白ひげをたくわえたおじいさんが座っていた

サンタさんかよとつっこみたくなる気持ちを抑え挨拶する



『はじめまして、田中雄亮です…』

『はっはっは、そんなにかしこまらんでもいいのだよ、今日から家族になるのだから』

『あ、すんません…はは』



思ってたより気さくそうな人だ
お金持ちはやっぱりこういう人が多いのだろうか



『で、親御さんの借金は大丈夫だったかい』



おれの両親は大変なギャンブラーで、
人にお金を借りてまで博打打ちにひたっていた
それが原因で借金はなんと2,500万


『ほんとに申し訳ないです…博打で負った借金なのに…』

『いいんだよ、君は親御さんの問題に関係なく健康に育つ権利があるんだからね』

『ありがとうございます…』


借金でおれの養育はおろか生活すら困難になっていたところに
あるお金持ちが養子縁組という形でおれをひきとり、両親はその謝礼金で借金分のお金を返せるという話が

そしてそのことを両親から聞かされたときにはもう話は進んでしまっていたのだ


おれは商品じゃないんだぞと憤りも感じたが、
こうなってしまったからにはもうこれがおれの運命だったんだと割り切ることにした


今まで両親のそのギャンブラー気質のせいで何かと苦労してきたが
ついに息子を養子にやってしまうとは呆れるしかない

そんな親の下にいるよりはお金持ちの子になった方が100倍良い気がする



『そうそう、うちには実の息子たちに加えて君のような養子がたくさんいてね』

『あ、そうなんですか…それって兄弟ってことになるんですよね』

『あぁ、それでまぁ人数は多くて大変だろうが仲良くやりなさい』
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