『ユウスケと36人の兄弟たち』
□第三話
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太陽が暖かく春風の気持ちいい朝
【成光学園高等部第52回入学式】
『すっげー…』
ここが今日から通う高校…
お金持ちの子どもばっかだということは聞いていたが
正直ここまでだとは思わなかった
お城のような建物にバラ園や噴水
そして送りのリムジンで渋滞ができているのだ
そしておれと孝太郎も今ちょうどそのリムジン渋滞に捕まっているところだ
窓から見えてくる学校の景色に
今までおれが歩んできた人生と比べてあまりのギャップの大きさに愕然としていると、
『高校までくるともう知ってるやつしかいないような感じで、入学式っていってもほとんど形だけだなー』
そういえば孝太郎は幼稚園からこんなところに通ってんだっけ…
『おれなんかが通っていいのかな…』
ちょっと弱気になってしまった
『何言ってんだお前だってもう御字川家の息子だぜ?すぐ慣れるってこれくらい(笑)』
『着きました。どうぞお降りくださいませ』
運転手さんに見送られリムジンを降りる
…と、
「キャーッ コータローくんおはよーっ!!」
突如として黄色い声が湧き上がった
『おーっ、おはよー!』
「コータローくん高校の制服似合う!」
「ねーっかっこいい!さすが御字川家」
「同じクラスなれるといいなぁー」
…なんだ、なんなんだこれは
あっという間に女子に囲まれたんだが…
『入学式から困ったな…!あっユウスケちょっと掲示板見てきてくれねえか?クラス割り書いてあると思うんだ』
『あっ分かった…』