人外いぢめ 斎藤空

□ふたなり空 痛み編
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 私は完全な実験動物扱いとなった。
「これ、玉が潰れてたらどうするんだろう?」
「さあ?」
 そんな話をしているのは、不思議と軽蔑だ。
 私は天井から垂れるロープで吊るされているのだ。つま先はギリギリ地面に着いている。
 ロープは私が手で掴んでいるだけので、手を離せば良いのだ。しかし、離したら金蹴りを受けるらしい。
 常に爪先立ちしている状態である。それが辛くて辛くて仕方がない。
「まず、デコピンからだよー」
 不思議が私の玉に向けてデコピンを繰り返す。1点に力が集中するので余計に痛い。
「うぐぐぐ」
 私が痛いと言ったら、終わりなのだが、私の口には猿轡が付けられている。
 これでは実験は終わらない。
「体がびくびくしてるよー。気持ちいいのかな?」
 不思議はそんな事を言っている。この女はドSなのだろうか。さっきから右の玉しか狙ってこない。
 私の目から涙が流れ出たのは、30回目のデコピンを終えた時だった。
「おい、そろそろ交代だ」
「わかったー」
 軽蔑が私の前に立った。
「棒が邪魔だな。こうするか」
 私の棒を紐で結んで、その紐を天井に固定した。玉だけが彼女の前に曝け出される。
 もし、ロープから手を離したら、棒だけで私の全体重を支える事になるようだ。
 それだけは絶対に避けないと。
「じゃあ、実験開始。まずは、ペンチ」
 軽蔑の手に握られていたのは、ペンチだ。
 それは予想通りに右の玉を挟み込んだのである。
「ひっぐうぐううううううううううう」
 痛いでは済まないレベルだ。
「あら? 大丈夫なの?」
 軽蔑が次に持ってきたのは、角材と木槌。何をするんだ?
 彼女が私の玉を角材の上に載せた。彼女は私の右の玉目掛けて、木槌を振り下ろしたのだ。
「ふごごごごおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 悲鳴である。紛れもなく私の悲鳴だ。
「頑丈ね」
 軽蔑の言葉を聞いた私はロープから手を離してしまった。
 すると、棒に全体重がかかって、紐が食い込んだ。
 紐が体重に負けて切れた。
 私は床に叩き付けられた。
「実験終了」
 私は気を失ったのだった。

 目が覚めると、病室のような場所に横になっていた。
「空、起きたか」
 鬼子が話しかけてきた。
「とんでもない事が起きた。この女鹿沢町が独立した。女性だけの国家として」
 私は信じられなかったのだ。
 女だけの国家だって?
「テレビを観てみろ?」
 言われた通りにテレビを観ると、どうやら本当らしい。
 女同士でも子供が作れるようになったからだそうだ。
 新しい物語が始まった。


ふたなり空 痛み編終わり

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