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女A「ねえ、聞いた?セーラーVの活躍!」
女B「知ってる知ってる!」
女C「宝石強盗捕まえちゃうなんて、凄いよね〜」
女B「あ、そういえばさ……」
街を歩いていると聞こえてきたのは、今巷で騒がれている謎の美少女、『セーラーV』の話題。
だが、その話題もすぐに別の話に変わっていた。
「セーラー、V…」
この街からでも見える赤い塔を見上げて、ポツリと呟くのは、キャリーケースを引く一人の少女。
少しの間があって、その少女は1枚の紙を片手に再び歩き始めた。
***
疑問を持ち始めたのはいつだっただろうか。
この街に越してきて、2年の月日が経とうとしていた。
中2になる前、私はこの街にやってきた。
いつからだろう。
この世界の異変に気付き始めたのは。
それは、多分私だけが知っている現実。
私の周りでは誰も知らない。
この世界が何度破滅に陥っているのか。
その時、誰が何をしているのか。
私は導かれるようにしてこの街に。
きっと私も、あの暖かな光に呼び寄せられたのかもしれない。
───そして私は、
この春『麻布十番高校』に入学した。
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