空想部屋
□奴からの贈り物
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后には今、悩みがある。
それは…
「 うわ、またかよ!?」
自室のドアを開けた瞬間と同時に后は溜め息を吐いた。
后の視線の先には高級感溢れる箱やら某有名ブランドの袋が部屋の真ん中に、ドッサリと積んであった。
「あれ 嬉しくないの?せっかく后くんの為にわざわざ買い付けてきたのに、傷つくな〜」
「勝手に人の部屋に入るな変態野郎!」
后はソファーでくつろいでいた悩みの種の男を睨んだ。
大体、后の部屋に元々ソファーなどない。
言やら清明やらが一緒に寝たがるので部屋はどんどん手狭になる。そんなもん置くスペースなど最早どこにもない。
きっとこの男が勝手に持ち込んだんだろう。いい迷惑だ。
「なぁ 狭いから全部何一つ残さず持って帰ってくんねー?」
「いいねぇ、その顔!后くんの嫌がる顔が僕は一番好きだなぁ。」
この男は頭がおかしい。
分かってた事だが慣れることはない。
最近ずっとこの男は頼んでもいないのに后にプレゼントを渡しにわざわざやってくるのだ。新しい嫌がらせだが何だか知らないが止めて欲しい。
「でも、たまには笑った顔も見たいんだけどねぇ、后くんは今何が一番欲しいのかな?」
何を考えてるのか解らない笑顔に寒気がする。
「何も要らない。早く帰って下さい」
冷めた態度で答えると徳長は傷付いたふりをした。
「まぁ 后くんは鈍感だから僕の気持ちなんてわからないよね〜」
「わかりたくないです。ってかマジで帰れ!もう言も帰ってくる時間だし、いろいろ面倒くさくなる!」
「しょうがないね、じゃあ明日は后くんに今一番必要な物をプレゼントするから楽しみにしててよ!」
「要らねーよ!ってか帰るならこの荷物持ってってくれ」
瞬間移動をしようとした徳長に慌てて后は言うと
「どうせ晴明がまた燃やすからいいんじゃない?」そう言ってやっと徳長は帰っていった。
その5分後、帰宅した言と晴明が無言で荷物を消し去ってくれたが、ずっと不機嫌で殺気を放っていた。
なんか疲れた。
そして、翌日。
「…うわ、またある。」
朝目覚めると枕元に黒い箱があった。
綺麗に赤いリボンまでしてある。
寝ぼけながら、つい箱を開けてしまう。
「うわぁー!!!何だこれー!?」
中身を見て后は強く動揺してしまった。
「どうしたの!?兄さん!」
后が叫ぶと言がすぐに来て箱に気付いた。
「またあの男か、殺す!」
后は瞬間移動しようとした言を急いで止めた。
「駄目だよ殺しちゃ……それよりごめんこの箱、今すぐ燃やしてくれ…」
「えー!殺そうよ?あんなゴミ。その箱と一緒に燃やしちゃお?」
燃やせるものならとっくに燃やしている。
「駄目ですよ后様。燃やすなんて勿体ない。有効利用しましょう徳長も、その箱の中身も」
背後から声がして驚いて振り向くと晴明が立っていた。
「……晴明。見たのか箱の中身?」
后が恐る恐る聞く。
箱の中にはコンドームやらその他もろもろ直視できないものが入っていたのだ。
后としてはさっさと消し去りたい。彼女もいないのにこんなもの持っていても虚しいし何より言にバレたら確実に徳長は言にバラバラにされるだろう。
「えぇ、勿論見ました。今の后様に必要な物ですよねー。………あんた、また私のライバル増やして!愉しいですか后様、男を誑かすのは?」
「…お前、何言ってんの?」
「兄さん、全部消そうよ!箱も徳長も晴明も式神も」言が無邪気に笑う。
「黙れガキが!后様今日は保健体育の勉強しましょうか、箱の中身の使い方を教えて差し上げます。良かったですね、嬉しいですか后様?」
「兄さん保健体育なら僕得意だから教えてあげるよ!晴明なんか無視しなよ、ただの生ゴミだよ?」
「保健体育は学校で習ったんで結構です。あと言くん晴明は人間です」
朝からなんでこんなに疲れなきゃいけないのだろうか……徳長、まじ消えて欲しい。
后の悩みは絶えることがなかった。