進撃 第壱扉 [dream]
□壁外調査
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奇行種襲来の援護に向かった班が戻ってきたのは、増援の指示を出してからずいぶん経った頃だった。
それはつまり、巨人が優勢であったということだ。
「本班、複数襲来した奇行種の討伐完了しました。」
「兵糧と衛生班はどうなった?」
「我々が到着した時には壊滅しており...生存した兵を確認出来ませんでした。物資と遺体は出来るだけ回収しました。」
「...ご苦労。」
信じられなかった。
マヤが死んだ?
まずは遺体を確認しなければと思った。
リヴァイの部下も増援に向かった。
彼らの生死についても確認しなければいけない。
しかし足が動かなかった。
どうしても、遺体となったマヤを見る勇気が出なかった。
兵糧を失ったため、長期間の壁外調査が不可能になり、休憩をして町に帰ることになった。
町に帰る前の休憩は、仲間の死を悲しみ、巨人を憎み、また自分の無力さに絶望する空気に支配される。
リヴァイは今までその空気に飲まれたことはなかった。
大事な部下を失い、自分を責める時でも、それ以上に強くあろうとした。
しかし今は無理だった。
リヴァイはマヤが以前言った言葉を思い出していた。
『兵長のそばにずっといたいです。だから必ず、生きて帰ります。』
俺は、嘘つきは、大嫌いだ。
何てあっけない。
自分がマヤに気持ちを伝えていないことも悔やまれた。
すると、休憩していた兵の一人が叫んだ。
「おい、誰か帰ってきたぞ!兵糧の荷車だ!」