進撃 第壱扉 [dream]

□壁外調査
2ページ/3ページ

奇行種襲来の援護に向かった班が戻ってきたのは、増援の指示を出してからずいぶん経った頃だった。
それはつまり、巨人が優勢であったということだ。

「本班、複数襲来した奇行種の討伐完了しました。」
「兵糧と衛生班はどうなった?」
「我々が到着した時には壊滅しており...生存した兵を確認出来ませんでした。物資と遺体は出来るだけ回収しました。」
「...ご苦労。」

信じられなかった。
マヤが死んだ?

まずは遺体を確認しなければと思った。
リヴァイの部下も増援に向かった。
彼らの生死についても確認しなければいけない。
しかし足が動かなかった。
どうしても、遺体となったマヤを見る勇気が出なかった。

兵糧を失ったため、長期間の壁外調査が不可能になり、休憩をして町に帰ることになった。

町に帰る前の休憩は、仲間の死を悲しみ、巨人を憎み、また自分の無力さに絶望する空気に支配される。
リヴァイは今までその空気に飲まれたことはなかった。
大事な部下を失い、自分を責める時でも、それ以上に強くあろうとした。
しかし今は無理だった。

リヴァイはマヤが以前言った言葉を思い出していた。

『兵長のそばにずっといたいです。だから必ず、生きて帰ります。』

俺は、嘘つきは、大嫌いだ。
何てあっけない。
自分がマヤに気持ちを伝えていないことも悔やまれた。

すると、休憩していた兵の一人が叫んだ。

「おい、誰か帰ってきたぞ!兵糧の荷車だ!」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ