進撃 第壱扉 [dream]
□告白
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「兵長、ありがとうございました。」
ほんの少しだけ笑みを浮かべ、マヤはリヴァイに礼を言った。
「何がだ。」
「聞いて下さって。しかも可哀相とか頑張れとか、一言も言わずに。
受け止めて下さったんですね。」
「聞き出したのは俺だ。礼は要らない。」
マヤは黙って微笑むと、グラスを空けて、自分とリヴァイの分の酒を足しに行った。
戻って来た時は、普段のマヤの顔つきになっていた。
だから、マヤが相当酔っているとリヴァイは気付かなかったのだ。
「兵長。私、兵長とお会いできてよかったです。こうして二人でお話できたことも。
とても嬉しいです。」
「...あぁ。」
「私決めました。私、兵長の健康や幸せのためにお力になりたいです。これからもずっと。
だって兵長は、何だか特別なんです。
もし父がいたら、こんなに安心出来たんだろうなあって...。」
最後の一言には納得できなかったが、黙っておいた。
マヤは深く俯いて、静かに泣きながら話していたからだ。
マヤが泣き止むまでリヴァイは待つことにした。
泣きやんだら俺も言おう。
俺のそばにいろと。
しかしマヤはなかなか顔をあげなかった。
「寝ちゃったみたいだよ?」
突然後ろから声がした。
「...立ち聞きか。その卑しさはどうにかなんねえのかクソメガネ。」
「だって!通りがかったらマヤちゃんがリヴァイに告白してて、リヴァイもまんざらじゃなくて、あのリヴァイに彼女がー!と思ったら...ププッ...お父さん...くくく。」
「削ぐぞ。」
「傷ついてる!?」
「うるせえ。とりあえずお前の部屋で寝かせてやれ。」
リヴァイは眠ったマヤを抱きかかえて、ハンジの部屋へ向かった。
「苦労してる子だからねえ。リヴァイとは気が合うんだね。」
「知ってんのか。」
「マヤは私の妹みたいなものだからね!知らないことはないつもり!」
「フン。」
「また傷ついてる!?」
そこでマヤが小さく寝言を漏らした。
そしてリヴァイではない別の男の名を呼んだ。
「...へいちょ...エルヴィン兵長...」
ハンジが珍しく気まずい顔をする。
リヴァイは何も聞けなかった。
リヴァイがマヤに次に会ったのは、次回壁外調査の会議だった。
マヤは衛生救護班の席にいた。