進撃 第壱扉 [dream]
□乾杯
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酒とグラスを持って戻ると、マヤがアンリと話していた。
マヤは怒った様子で、アンリは気まずそうである。
ブレードの事情のことを漏らしたからだろう。
「ふん、アンリが怪我しても絶っっ対助けない。」
「ちょ、ホント悪かったよ。でもさ、兵長に聞いてもらえ?兵長、信頼したチームのことは本当に大事にするんだ。お前兵長の担当なんだろう?信頼されてんだよ、羨ましい!」
アンリのその言葉にマヤの頬が少しだけ赤くなった。
「...リヴァイ兵長だったから良かったけど、これからは勘弁。カミングアウトってエネルギー要るんだから。」
「おうおう。じゃあな。」
「あれ?一緒に飲まないの?」
「さすがにそこまでうっかり者じゃないね。」
マヤはぽかんとしてアンリを見送った。
そうだ、お前は鈍感過ぎる。
そう思いながらマヤの前にグラスを置いた。
「飲め。樽はあの奥にあるから、無くなったら自分で行け。」
「ありがとうございます!わー高そうだなあ、いい香り。いただきます。」
そう言うと、大きすぎたかと思ったグラスの半分を飲み干した。
「ふう。いいですねえ、病院にはもちろん食堂にお酒ないので、新鮮です。」
「...明日の兵員の分は残しといてやれよ。」
「そんなに飲みませんよ。」
アルコールが入ると、マヤは昼間に比べ少しだけ緊張の糸がほどけたようだ。
リヴァイも久しぶりの酒を味わった。