進撃 第壱扉 [dream]

□二人の食卓
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マヤの作った料理は美味かった。
素材はおそらくかなり新鮮で、歯応えがよい。
それを活かすために味付けは適度に抑えられていた。
日々の積み重ねで生み出される味だ。
しかし気になることがあった。

「おい、この肉はどうした。まさか食事療法のために買ったのか。」
「あ、いえ、お肉はとてもお高いですから、自分では一度も買ったことがないんです。この鳥は私が育てたんですよ。」

聞くと、近所で共同で鶏舎の管理をしていて、そこで育てたものだそうだった。
家の中で飼っていないと分かり、とりあえずリヴァイは一安心した。

食事をしながらマヤは自分のことを少しずつ話した。
今の病院の仕事は充実しているが、動物を診ることも好きなのだということ。
病院の仕事は数年続けており、患者に調査兵団の兵達が多いこと。でも皆治療に一生懸命なこと。リヴァイの知っている兵もマヤが何人か診察していたことが分かった。負傷はしたが今も第一線で活躍している。そのことを伝えると、マヤは謙遜しつつも嬉しそうに笑った。

今日は休日なので、マヤは私服を着ている。
シンプルなシャツにアクセサリーは何もつけていない。
ボタンを開けた胸元は、料理をしていたせいで少しだけ汗ばんでいる。
病院での手術着よりもマヤの女らしい体型が良く分かる。そして袖から覗く白くて細い手首と指。

そういえばこいつの手はなぜか魅力的だった。

日頃手術や消毒をするため、良く見れば傷も皺も少しはあるのだが、白く細くしなやかな指。
指輪も、指輪の跡も見当たらなかった。
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