進撃 第壱扉 [dream]

□抱擁
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何とか起き上ったマヤに水を飲ませ、ベッドにもたれかけるように座らせた。
マヤがそうしたいと言ったのだ。

「マヤよ、お前の活躍は見事だったようだな。」
「活躍・・・?
ああ、巨人の体内から脱出したことですか。」

それだけではない。
陣形の中心部まで侵入した巨人を、次々と討伐・補佐していた人物がいたと、増援部隊の証言があった。
その動きは見事で、そこにいたほとんどの巨人の動きを封じていたと。
増援の誰も彼女の顔を知らず、何者なのか分からなかったと。
また、彼女は最後に巨人に片足を食われ負傷した際、飲まれて死亡した、と。

「巨人に遭遇して戦うのは当然です。
でもあの脱出方法は、確かに役に立つと思います。
胃まで落ちていたら、溶けてしまうかもしれないし・・・。
ハンジさんと、またいろいろ研究しないと。」
「お前のお陰で、あれ以上損害を出さずに済んだんだ。
賞賛に値する。
しかし、思い知っただろう。」
「何をですか?」
「壁外の状況だ。
いつ誰が死ぬか分からん。
医療班なら怪我人の多さも分かっただろう。
お前自身も痛い目を見ている。」

リヴァイは今度こそ、マヤに二度と壁外に行かないよう説得したかった。
立体機動の手錬で、兵団にとっては必要な戦力だとしても。

そして。

「俺も、いつ死ぬか分からない身だ。
この間の告白は、なかったことにしてやる。
考え直せ。」

本当は。

本当はマヤと共に生きたい。

しかしいついなくなるか分からない自分が、果たしてマヤを幸せにできるのか。
その不安が、マヤの気持ちを受け入れることを躊躇わせていた。

「いや兵長、さっき治ったらやらせろって仰いました。」
「・・・言ってねえ。」
「・・・嘘は嫌いです。」
「とにかく、壁外の恐ろしさが分かっただろう。
お前は優秀な医者だ。壁の中で、病院の中でも人類のために出来ることがある。」

リヴァイがそう言い放つと、マヤは黙って俯き、ため息をついた。
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