進撃 第壱扉 [dream]
□守りたいと言えない
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「なぜお前がここにいる。」
リヴァイは会議の後、マヤを呼び出して言った。
「そう睨まないで下さい・・・。
実は前々から打診されていまして。兵長も病み上がりですし、何かあったら私が手当できるようにと思って決めました。」
「その足で壁外にいくのは自殺行為だ。やめておけ。」
「救護班は陣形の真ん中ですから、前線ではないんですよ。」
完全に仕事モードに入ったマヤは活き活きと答えた。
そうじゃない。
大事な奴を、お前を、危険な場所に連れて行きたくない。
そう説得しようと思っていたところに、エルヴィンが現れた。
マヤが少し警戒するのが分かる。
あの夜、寝言で名を呼んだ、エルヴィンとはどんな関係なのか。
「マヤ、久しぶりだね。」
「はい...エルヴィン...団長ですね、今は。」
「兵士長はそこに優秀なのがいるから。
世話になってるみたいだね。マヤの治療ならリヴァイの復帰は早そうだ。」
「恐れ入ります。」
他愛ない会話を交わしたあと、エルヴィンはマヤの手を握り、宜しく頼むと言い残し去っていった。
「エルヴィンとは知り合いか。」
「あ、ええ、昔治療させていただきました。」
それしか答えなかったが、それだけとは思えなかった。
マヤの顔にはまだ困惑の色が残っていた。
「...一昨日の夜、お前寝言でエルヴィンの名前を呼んだぞ。」
「えぇ!?」
「あと、引っかかるところもあったが、俺に告白した。」
「...しました。」
「俺は誰かの女と一緒にいるつもりはない。説明しろ。」
マヤは気まずそうにもじもじとしていたが、あきらめたように話始めた。
「エルヴィンへい...団長は、リヴァイ兵長と同じように治療担当させていただいて、その時お付き合いを申し込まれたんです。
しばらくお付き合いしていたんですが、団長の気持ちがよくわからなくて、辛くなってしまったんです。なので引きずっているのだと思います。
あの、自分でも整理出来ていないんですが、納得・・・してもらえますか?」
「初めの治療の時に髭の局長が、俺の素性を隠していたな。これが原因か。」
「はい、多分エルヴィン団長ご本人と、団長と親しい方を私が避けていたからです。
お付き合いしていたことは職場の皆も知っていたので・・・。」
一通りの事情を聞いて俺はため息をついた。
確かにエルヴィンの頭の中は、近くにいるリヴァイでも測りかねないところが多々ある。
「別れてどれくらい経つ。」
「それが...よく分かりません。」
「は!?」
「あの、私から辛くなってしまったという気持ちはお伝えしたんですが、団長は何も言わず。
恋人っぽいことはなくなったんですが、それからも何回かつかまってお食事のお誘いを受けたり、して、ました...。」
「おいそれ・・・まだ付き合っているんじゃねえのか。」
「・・・やっぱりそう思います?」
頭を抱えるマヤの横で、俺は憤りつつも、二人に対して心底呆れた。