ふしぎ遊戯

□待ち人。
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もう会うこともなかったと思っていた本の中の男の子。

朱雀召喚の為に今まで色んなことを乗り越えてきた仲間。
もう一度会えるなら会いたいそう願ったのは朱雀の三回目の願い事。




「柳宿!」
「……美朱~……アンタいつになったら約束守るのっ!?」


彼がこちらの世界に生まれ変わって又再びこの世界で会えることができた。
彼の名前はこの世界では別の名前だし両親も兄弟も違うけど彼は前と何の変わりもない。


「だからごめんって!機嫌直して!ね!柳宿っ!」



今日は彼のこちらに生まれ変わった日のお祝い。
ーーつまり誕生日。
彼は医大生でまだ高校生の美朱を学校終わり時間があえばこうやって門の前でいつも待っている。
その姿はまるで女子高生皆が皆振り返る程の美貌で美朱はいつもいつもそれに嫉妬ばかりしていた。
そんな美朱の気持ちを分かった上でたまにからかう様に別の女性にわざと声をかけたりする柳宿。

そういう時に毎回美朱は


「もう柳宿なんか知らないっ!柳宿のお嫁さんになんかならないっ!」

そう口にすればいつも何処か寂しそうな表情を浮かべる。
それを頭では分かってしまうのだが勢いでいつも口にしてしまう。



「…ま、アンタが遅れてくるのはいつものことだし、そうね、今日はこの後どうするの?」
「どうするの?て、柳宿っ!今日柳宿の誕生日だよ!」
「…あら、そうだったっけ。」
「そう!誕生日なのっ!だから私についてきてっ!」


自分の誕生日を忘れてる柳宿はなんだか柳宿らしくてそれに笑ってしまう美朱。
未だ驚いている柳宿の手を取り目的の場所へと小走りで進む。
車があるのに、という柳宿の声なんて美朱には全然聞こえていなくて小走りで辿り着いた先はーー



「公園……?」
「そう公園!ここの周り建物も少ないし木もあってさ、なんだか紅南国みたいじゃないっ!?」
「全然っ」


そんなはっきり言われると思っていなかった美朱はどんっと暗くなるがそんな美朱の頭を撫でて柳宿は美朱を見据えてーー


「アンタがこうやって傍に居るだけで紅南国のことも七星士のことも鮮明に思い出せるのよ。」


うっすら笑う柳宿の表情にドキンと胸が高鳴る美朱。









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