ふしぎ遊戯

□続*好きだなんて言えなくて
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先日は酔った勢いだったのか柳宿に思ってもないことをされた。
男として情けないが思わずその場から逃げ去ってしまった。
次会った時どんな顔して柳宿と接したら良いのか、あの返事は出すべきなのか、と1人山に帰り自分の自室で数日引きこもりふつふつ考えこんでいた。

そんな様子の翼宿を気にかけていたのは翼宿の親友でもある攻児だった。

山に帰ってきてから数日も自室で引きこもりろくに飯にも手をつけず何かぶつぶつ呟いているみたいで心配というより不気味と思うことの方が強かった。

どうしたもんだ、と手のつけようがないと思っていれば攻児も思っていなかった訪問者がやってきた。



「やぁ~これはこれは~‥」


自室で未だ先日のことで頭いっぱいだった翼宿だったがだんだん近付いてくる声に聞き覚えがあった。
あれこの声って‥‥。


「え~、翼宿がずっと自室にこもりっぱなしなの?それは困ったものねぇ」


間違いなくそれは柳宿の声だった。
今一番接触したくなかった人物。
何故わざわざこんな処に、と思ったが先日の会話で自分から此処に来る様に誘ったのを思い出し、なんてことを言ったんだと今になって後悔が募った。


ーーコンコン。


どこに隠れようと思考回路を巡らすもそれより扉をノックする方が早かった。
思わず両手で両耳を塞ぎ現実逃避しようとするものの、鍵をしていたにも関わらず勢いよく扉がバァンッと大きな音をたてて開いた。

さすが馬鹿力。
きっと鍵がかかっていたのも予想済みだったのであろう。
柳宿を此処まで連れてきた攻児はまさか柳宿がこうやって無理矢理扉を開けるなんて思っていなかったのであろう、驚いてただぼーっと立っていた。


ベットの上で両耳を塞いでいる翼宿を見て柳宿はニコリと微笑んでいる。

やばい、いっきに全身にそう伝わってきた。
もう逃げ場はないというのにベットの上の布を頭まで被りとりあえず視界から柳宿を消した。







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