執事たちの恋愛事情
□執事たちの立話
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ー中岡の見る景色ー
「その瞳は宝石よりも美しい〜♪」
「その髪は生糸の様にしなやかに〜♪」
…サロンにいらっしゃるこの方は由緒正しいお家柄のウォルフガングラインスドルフ様。
お嬢様に一目惚れ→来日→滞在
と言う感じで今、この九条院のお屋敷に滞在しているお客様だ。
「その唇はー…」
お嬢様に一目惚れして海を越えてここにいるのだから、お嬢様にゾッコンなのだが……何と言うか見ているこちらが恥ずかしい。
ウォルフ様にお茶を入れてしばらく、横に付いていたのだがお茶は一向に減らず、パラパラと音楽雑誌をめくりながらおそらく自作のラブソングを口ずさむ……
先程からそれの繰り返しであった。
「ウォルフ様、私仕事がございますので一旦下がらせて貰います。」
「その指は可憐な〜♪」
…歌に夢中で気づかない
「ウォルフ様」
「…おっと、すまないね。なんだい?」
「失礼いたします。私仕事がありますので一旦下がらせてもらいますね。」
「わかった。今日は姫君がいなくて寂しいのでつい自分の世界に浸ってしまったよ…すまない。」
…身振り手振り大きく謝罪してくるウォルフ様。
「いいえ、では。」
そうして、サロンをあとにする。
…ふぅ。疲れた、
実のところさして仕事がある訳ではなかったのだが、ウォルフ様の隣にいるのはなんだか落ち着かなかったので、サロンを出る口実だった。
……慎一郎様はいつまでここに置くつもりなのだろうか。
そんなことを思いながら俺は遊戯室へ向かった。