故に、私は恋をする
□指先メトロノーム
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「懐かしいな〜女子寮」
「昔を思い出すわね」
やたらと広い寮内を歩いて、漸く辿り着いたのは懐かしの女子寮。
「荷物はこれだけなの?」
「あぁ、とりあえず一泊分。他はまた持ってくる
さりげなく私の荷物を持ってくれていた林檎にお礼を言ってバックを受け取る。
壁掛け時計を見れば、約束の時間まで10分を切っていた。
......切っていた?
「あーもう!これじゃ荷物整理してるヒマないじゃん。この寮のこの無駄な広さは一体なんなの!」
「あ、ちょ、雪乃!?」
「行こう林檎!間に合わなくなっちゃう!」
本名呼ばないでとか、今はそんなことどうでもよくて、
私自身、初めて生で見るST☆RISHに早く会いたくて仕方なかったんだと思う。
でも、一番楽しみなのはやっぱり、七海春歌ちゃん。
教えることはたくさんある。
教わることもきっと
「......そういうとこ、ホント好き」
「え?なにか言った?」
「んーん!早く行きましょキノちゃん!」
「うわっ、速いよ林檎!」
私の腕を逆に掴んで、走り出した林檎の後を必死で追う。
林檎が小さく呟いたあの言葉は聞こえなくて、気にも留めてなかったんだ。
まだ、この時は_