フォレストノベル
□危険極まりない恋愛
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男はにこりと笑った。
あ。綺麗な笑顔。
って私の馬鹿!こいつは殺人者!殺人者!!
でも、こんな笑顔をする人が殺人なんて。信じられない。
見た目は一言で言うなら「イケメンサラリーマン」といったところか。
黒いスーツに身を包み、上品なネクタイをして。
手に持っている物と足元に転がる死体さえなければ爽やか青年という言葉が似合う。
でも今私にはその男が蛇に見える。
笑みを絶やさず、私に近付いてくる。
「後々通報とかされたら困りますし、しばらくの間見張らせて頂きます。」
へ?
「さてと。この死体どうしましょうかねぇ。」
待て待て。見張る?
なんだ?監禁?軟禁?
「あなた、一人暮らしでしょ?」
なんでわかるんだ!?確かに私は大学に通うために一人暮らししている。
「スーパーの袋持ってちゃ、ね…。徒歩のようですから家も近いんでしょう?匿って下さいね。」
そうだ、さっきスーパー寄ったよ。
こんな状況に似合わない白いビニール袋と、そこからつきだしたネギ。
「…もしかして動けないんですか?おぶって差し上げましょうか?」
差し上げなくて良いですっ!!!
私は無言で首を大きく横に振り、家路につく。
なんて重い足取り。