フォレストノベル
□危険極まりない恋愛
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ヤバイ。
どう考えたってヤバイ。
目の前で繰り広げられたこの出来事。
ヤバすぎる。
こんな私を人はなんて呼ぶだろう?
第一発見者?
いや、違う。
蛇に睨まれた蛙。
そう、これだ。
つい30分前まで友人と楽しくお喋りをしていた私は、非日常に巻き込まれた。
大学3年生。
そろそろ就職活動も本格化。
そんな中私は。
殺人現場を目撃。
いや、有り得ないだろ。
でも事実。
鼻をつく血の臭い。
ナイフを持って立っている男。
悪びれた様子も見せずに私を見る。
動けない。動かない。
正に蛇に睨まれた蛙。
蛇はにっこりと笑った。
「さて、どうしましょうか。」
蛙は沈黙。
いや、正しく言うなら口の中はからからで、動く事すら忘れてしまった様な口では悲鳴もあげられない状態だった。
変な人を見たら大声をあげろというのは現実到底無理な話だ。
「…通報、する気はないんですか?」
男がゆっくりと私の方へ近付いてくる。
馬鹿言え。こんな殺人者の目の前で通報なんかしてみろ。
私は21という若さであの世行き特急列車のグリーン車の片道切符を手にする事になる。
私は首を横に振る。
命は惜しい。
「それは助かります。」