フォレストノベル
□愛流通センター
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愛なんて、愛なんてこんなものよ。
水戸黄門にのって運ばれてくる、たった4文字の言葉で消えてしまうようなものなのよ。
「お好きな『愛』か。私の『お好きな愛』はどこか行っちゃったわよー、だ」
どうせくだらない出会い系サイトの類だとは思うけど、トップページくらい見てやろうか。
私も今時の女子高生だ。携帯のボタンを操作して、画面に大きく『愛流通センター』の文字が出るまで、あっという間のことだった。
それにしても簡素なサイトだ。
『愛流通センター』の文字以外には『愛を買う』、『愛を売る』という選択肢しかない。
趣味が悪い。とても。
私は興が醒めてしまい携帯を閉じた。
そして頭の中はまた、『別れよう』の文字でいっぱいになった。