フォレストノベル

□愛流通センター
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「何?…これ」

よくある迷惑メールの類だろうが、それにしても間が悪いと思う。
このメールの下には、さっき来た、1年付き合った彼からのメール。

『別れよう』

そんな時にこんな迷惑メールが来れば、誰だって不快になるというものだ。
私が憤慨しながら消去ボタンを押しかけた瞬間だった。

♪ターラタッタ、タタタタ、ターラタッタター♪

メール受信音が鳴った。

ケンタ専用の着信メロディ。私は慌てて全ての作業を強制終了させ、新着メールを開いた。
差出人は、ケンタ。やっぱり彼だ。


「…『貸してた漫画はちゃんと返して』……ふざけるなー!」

もしかしたらもしかして、なんて期待した私が馬鹿だった。
…着信メロディはケンタが好きな水戸黄門。じじくさいって、からかったりしたっけ。

しばしの間、私はメールリストを眺める。
ケンタの間に挟まれて、『愛流通センター』の文字。

「…馬鹿馬鹿しい。もうちょっとマシな名前思い付かないのかしら。…はあ…愛、ねえ」
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