ストック
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「長安の三仏神からご報告が。
下界にて三蔵一行を西へ向かわせたとのことです。
…とうとう動き出してしまいましたな観世音菩薩。」
観「ふん…。全てはとっくに始まっていたさ。」
五百年前のあの時から…
『ん…?』
八「咲乃、どうかしましたか?」
『今、何か聞こえたような気がするんだけど…。気のせいみたい。』
八「そうですか。もうすぐ街が見えてくるはずです。久々に屋根のある所で眠れそうですね。」
三蔵一行を乗せたジープは桃源郷へ向かうために西へと走っていた。
そして車は街へと入り、今夜宿泊するための宿を探していた。
『宿見つからないねー?』
三「悟空、悟浄。お前ら二人で探してこい。」
空「なんで俺が…。」
三「さっさと行ってこい!!!」
ガウン ガウン
三蔵は、ジープの後部座席に座っていた悟空と悟浄に向けて銃を向けた。
銃を向けられた悟空と悟浄は弾を避けて、渋々ジープを降りて宿を探しに行った。
そしてしばらくして、チンピラに絡まれている女の子…朋茗を助けた。
空「あっ!てめぇそれ俺が取っといたスブタじゃねーかよかえせ!!」
浄「るせーな!イジ汚ねーぞ猿!!」
『エビチリ…。』
八「咲乃、どうぞ。」
三「静かに食え静かに!!」
悟空が助けた朋茗はたまたま宿を経営している娘であったため、三蔵達は無事に宿を見つける事ができ、騒がしく食事をしていた。
「ところでお客さんたち、東唐来たんだってね?」
朋「へぇ、珍しいなぁ!東の砂漠は物騒であんまり人間は通らないのにみなさんよく無事でしたね。」
朋茗のその言葉に悟空と咲乃以外は食べている動作を止め冷や汗をかいた。
最近、すごく凶暴な「五人組の妖怪」が出没し、彼らの通った跡には妖怪の屍の山ができるというウワサが流れているらしい。
『でもそれって…』
空「俺らのことみた…」
咲乃と悟空の言葉を遮るかのように、八戒は咲乃の口にゴマ団子を突っ込み、悟浄は悟空の頭をテーブルへと押し付けた。
八「気にしないでくださいね?」
朋「…?」
三「ところで、この界隈での妖怪の動向はどうなってるんだ?」
三蔵はおやじさんに今の街の状況を訪ねた。
おやじさんが言うには少し前までは妖怪も普通に過ごしていたらしい。
しかしある日を境に人間を10人ほど食い散らかして何処かへ消えてしまったらしい…。
『この街も一緒だね…。』
三「ああ…。」
朋「私、妖怪なんて嫌い!」
妖怪に食われた被害者の中には朋茗の友達もいたのが原因か、朋茗はひどく妖怪を嫌っていた。
そんな朋茗の言葉を聞いて悟空と咲乃は少し悲しそうな表情をして黙っていた…。