とある夏の打ち上げ花火
□ホラー映画
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「おっ、目覚めたか?」
「・・・ん、あれ?」
目を覚ました先には見慣れた天井をつわはす君の顔が写っていた。頭の後ろには少しだけ柔らかい物が乗っているという感覚があった。
きっとクッションか何かだろう。
「まさかホラー映画を見ただけで気を失うとはな」
そう言って僕に笑みを見せてくる。その笑顔はホラーが苦手な僕に対するからかいのようなものではなく普通に笑いかけてきた。
「映画はまだ大丈夫なんだよ。俺は」
「僕は全部無理だ…」
ゴツンッ
だいぶ気が楽になたので起き上がろうとしたが何か硬いものが僕のおでこ辺りにぶつかった
「いたっ」
「いてっ」
同時に同じことを言う。ってつわはす君も?
「いきなり起き上がるなよ…せっかく人が膝枕してやったっていうのによ…」
「ごっ…ごめん。って」
今、つわはす君の口から聞き返したくなる言葉が聞こえた。だって、今膝枕って…
おでこを抑えながら振り返るとそこにはクッションでもなんでもない。つわはす君の膝があった。
「どっどういう…」
「いやな、P- Pが倒れて頭がちょうど俺の膝に乗っかったんだよ。クッションを持ってきたほうがいいとは思ったんだが気を失ったのも俺のせいだしせめての罪滅ぼしにと思ってそのままにしておいたんだ」
「べっ…別にそんなことをしなくてもよかったのに…」
この時、僕は本当に後悔なことをしたなと思ってしまう。膝枕なんて、して欲しいと思ったこともないし、ましてはそれ以前にそんな発想は思いつかなかった。それなのに、今さっきまで僕はつわはす君に膝枕をしてくれていたのだ。なのに…なのに…
「あっ、そうそうP- P。今日よかったら夏祭りに行かねェか?」
「えっ…?」
「毎年このあたりにある神社の近くで夜店とか結構でるんだ。それでその日がちょうど今日って訳。よかったらどうだ?」
「…行く」
夏祭り