とある夏の打ち上げ花火

□夏祭り
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高々と昇っていた太陽の姿はいつの間には西の空へと消えようとしていて空は少しずつ暗くなっていく。

いつもなら煩かったセミの鳴き声がいつの間にか消えていて静かな夜の夏が始まるのだが今日は夏祭りということで外からは太鼓の音が微かに聞こえてくる。

「よっしゃ、行くかP- P」

つわはす君が支度を済ませて自分の部屋から出てくる。そして僕はつわはす君の後ろをついていくように歩き出す。

「もう、太鼓の音が聞こえてるね」
「そうだな〜・・・・P- Pは祭りでなんか買うか?」
「そうだなー・・とうもろこしとか?」
「おっ、いいねとおもろこし!」


そんな祭りの話をしながら神社に向かったらもう周りは近所の人や遠くから来た人で賑わっていた。

「うわぁ・・・ やっぱり多いね・・・」
「今は夏休み真っ盛りだからな・・・ とりあえず、行くか!」

そう言ってつわはす君は僕の腕を引っ張り人ごみの中へと入っていく。

「P- Pはとうもろこしだったよな…とうもろこしは… おっあったあった」

つわはす君は人の目を気にせずに僕の腕を引っ張って行く。周りの目は…と言っても周りも周りで祭りを楽しんでいて他人のことなどどうでもいいようだ。それに、見られたとしても手をつないでいる訳でもないし自然と言ったら自然なのかな?

「いらっしゃい」
「おじさん、とうもろこし一つ」
「はいよ!」

っとそんなことを考えていたらつわはす君はいつの間にかとうもろこしを買っていた。一体いつの間に・・・

「あっ、ありがとう・・・ いくらだった?」
「ん?金はいいよ」
「えっ・・・ でもそれじゃ・・・」
「いいじゃねェかよ。今日ぐらい俺に奢らせろ」


そう言って僕にアツアツのとうもろこしを手渡し僕は受け取った。一口食べてみるとやはり熱い。だけど、出来たてのとうもろこしは美味しかった。祭りだからだろうか?そのせいかでよけいに美味しく感じてしまう・・・

「ちょっともーらいッ」

つわはす君は自分の手を僕の手で覆いかぶせるように持ちそのまま引き寄せてとうもろこしにかぶりつく

「ちょっ… つわはす君!!」
「美味いな〜やっぱり!!」


そう言って僕の手を放す。祭りだから浮かれているのだろうか…?いつも人目を気にしているのに…それとも、これぐらいは大丈夫だということだろうか?


「ありがとよ、俺焼きそば買ってくるからそれ一口やるよ」
「うっ・・・ うん。ありがとう」
「ちょっとここで待っててくれ」


はぐれないように僕を人通りの少ない所に連れて行きまた屋台の方へ消えていってしまった…きっとすぐに帰ってきてくれるだろうと思い僕はとうもろこしをかじる。

「ねぇ君。一人?それとも誰かと待ち合わせしてるの?」

食べている時に誰かに話しかけられた。僕はふと顔を上げると少しケバい…というか派手な女の人が2人寄ってきた。

「えっ…はい、まぁ…」

いきなりで戸惑いぎこちない反応になってしまった。というか、なんだかだんだんと女の人たちが近づいてきている気が…


「ねぇねぇ、待ち合わせって彼女とか?」
「彼女じゃないけど…」
「えっ!んじゃ友達と?何人?」
「友達が一人…」
「うっそ〜!!それじゃ私らで丁度じゃん!!」
「ねぇねぇ!!君とその友達と私らでさ一緒に屋台回らない?」
「そうしようよ!!」


女の人は話している間に一歩一歩近づいてきて今になってはもうほとんど距離がない。女の人が近寄ってくるに連れて女の人が身につけていると思われる香水の甘い匂いが僕の鼻を刺激する。
2人共香水をつけているせいか2人の方から甘ったるい匂いが漂ってくる。その上、一人一人の香水の匂いが付きすぎているのか匂いが少々キツい…
2人は濃いメイクを仮面のように扱って自分素顔を隠し、髪は派手な金髪だ。
一言で言えば、ギャル…というものなのだろうか?

「お〜いP-P」
「つわはす君!!」

先程ここから来た道からつわはす君が中に焼きそばが入ったと思われる入れ物とお箸を片手で持っている姿が見える。

「あっ、あれが君が言ってた友達?」
「…うん」

年下に『君』と呼ばれるのは僕にとっては少々不慣れのようだ…
というか、こういう子は僕には苦手なんだと思う。

「P-P、誰だこの人ら?」
「実は…」「ねぇねぇ、私らさっきから一緒に屋台回ろうって言ってたんだけどさ〜よかったらどう?」


僕が言おうとした言葉をかき消すぐらいの大きな声で彼女は話す。つわはす君の表情をチラッと見てみると芳しくない表情…
そりゃそうかもしれない。だって、つわはす君は僕より彼女らには失礼だろうが馴れ馴れしい子は苦手だと思う

「悪ぃ、遠慮しとくは。行くぞP-P」

彼女らには短い言葉で断り僕の手を引いて少し早歩きでこの場を立ち去る。

「ごめん、つわはす君。なんだかいきなりあの子達が来て…」
「なんでP- Pが謝ってんだよ。それに…なんだアイツらは」
「アハハハハ…何て言うか…まぁ、人懐っこいと言うか…」
「あいつらの態度じゃねーよ」
「えっ…んじゃ何?」
「あいつら、俺とP- Pの仲を友達って言いやがった…付き合ってるのによ」
「いっ…いやぁ…それは理解してもらうのは難しいと思うよ?初対面だし…」
「だがよ…」



「あれ?つわはすさんとP- P?」




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