幻想花
□プロローグ
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えっと、
「とりあえず落ち着こうか私」
真っ暗闇の中手探りで這うように進むが、以前としてここがどこだか分からないし
何か硬い物におでこをぶつけた。
「いだっ!」
目の端に涙を浮かべながら、ぶつけたおでこをさすればぽっこりと腫れているのがわかる。
なんか本当に泣きそう・・
はぁ、とため息一つついて、夢はその場へ座り直した。
何でこうなった?
夢の頭の中はそれで埋め尽くされていた。
ついさっきまで、歌舞伎町を歩いて居たはずだ。
親友の綾乃と久しぶりに遊ぶ約束をしていて、ウキウキ気分で歩いていたのに。
それはもう、周りが引くくらいの笑みを浮かべながら。
「んー・・困った」
綾乃に怒られる。
あの子ってば自分はルーズなくせに、こっちが遅れると怒るんだよな。
あーどうしよー
ともう考えるのを放置して後ろへ寝転んだその時だった。
がらっ
扉が開く音と同時に、明るい光が入ってきた。
目がー!目がー!
今ならム◯カの気持ちがわかる気がする。
「あの、どちら様でしょうか?」
目が少し慣れた時だった。
頭上から声が降ってきたのは。