リクエスト

□プレゼントは
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次の日。
心地よく目覚めた。
目の前にはスヤスヤと気持ち良さそうに眠るナツ。
俺の腕を枕にしていて、距離はかなり近い。

まだまだ見ていたいがそろそろ起こさねば依頼人が来てしまう。
本当はこのまま見ていたいが。

名残惜しげにナツの体を揺らす。


「ナツ、起きろ。そろそろ時間だぞ」
「……んむぅ……ねむ…」
「ほら、依頼人来ちまうぞ? 早く終わらして来るんだろう?」
「……うん……グレイ、ちゅー」
「なっ!!!! おまっ、……一回だけだぞ」


絶対寝ぼけてる。
んなに可愛くねだるな。抑え効かなくなるだろうが。

心の中でそう呟いて、お望み通りのキスを送った。
そうするとナツはもう嬉しそうで、襲いたくなるほどの……
って、ダメだダメだ。ナツは今からクエスト。

はぁ、とため息を吐いて未だ寝ぼけるナツに魔法で冷たくした俺の手を背中に擦り込ませた。


「ひゃぁあ!!!」
「……目ぇ覚めたか?」
「てめっ!! もうとっくに覚めてるっつーの!!」
「はいはい。早く準備して行って来い」
「………もっかいちゅーしてくれたら行ってくる……」
「……いつからナツさんはそんなにキス魔になったのかね」


なんか今日のナツすげえ可愛くねえ?
いやいつも可愛いけど。
普段こんなにキスなんか求めて来ねえよ?
あれか? ちょっと負い目感じてるとか?

ちゅ、と唇を合わせるとすぐに離れようとするナツ。
そうはさせまいとがっしりとナツの頭を掴み、舌を捩じ込む。
もっと騒ぐかと思ったが、大人しく舌を絡めてくる。

一旦離してみると、ナツの顔はそりゃあもう真っ赤になってた。


「なんだよ、ナツさん今日はえらく積極的だな」
「………だって、その、好き…だし…グレイのキス……」
「……なんなんだよ! 今日に限ってんな可愛いこと言うなよ!」


今日は一緒にいられねえのに!

そういう思いで声を荒げると、すぐにナツはしゅん、と眉を下げた。
そのままごめん、と呟く。

あぁ、なんだか調子の狂う日だな今日は。
そんな顔してもらいたくないのに。


「……早く帰って来るから…」
「おう」
「……グレイ剥れて浮気すんなよ」
「しねえよ! アホか! 俺はお前だけだ!」
「……そっか…」


安心したような顔をしたナツにもう一度キスを贈って、一緒にギルドに繋がる扉を開いた。



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