短い
□怖がりなキミ
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それは、ルーシィの一言で始まった。
「みんなで肝試ししようよ!」
事の発端は今日のクエストがかなり簡単に終わってしまったことだ(まぁ大抵簡単に終わってしまうのだが)。
久々にゆっくりして行こうというエルザの言い分に、ここら辺は有名な温泉地だそうだと付け加えて皆が首を縦に振った。
ゆっくりと温泉に浸かって、疲れを癒し、美味しい食事も頂いて、借りた部屋でゆっくりとしていたところで、冒頭に戻る。
「肝試しぃ?何だそれ」
「ルーシィ、そんなに己の力を試したいのか。いいだろう、私が相手に……」
盛大に勘違いしているエルザにルーシィが違うから!と鋭くツッコミを入れる。
「ここのホテルの裏側ねすっごい暗くて、さっき支配人さんに聞いたんだけど、偶に出るらしいんだ。幽霊」
「はっ。幽霊なんて出るわけねーだろ」
「ルーシィ、噂話を簡単に信じるのはどうかと思うよ」
「あんた人のこと言えないでしょ?!」
はぁ、と一息吐いてから「だからね」と続ける。
「あんまり悪さとかしてそうだったらさ、私たちで退治してあげようよ。出なかったら出なかったでお遊びで丁度いいじゃない」
「ふむ、まぁおもしろそうではあるな」
「でしょでしょ?!あ、でも流石に1人づつはやめとこ。ハッピーも居るから2人と3人でグループ作ろ」
エルザも乗り気になってきた時、あのよ、とグレイが声を掛けた。
「コレどうにかしてくんねぇ?」
コレ、と指差す方を見ると、グレイの背中から桜色のツンツンした髪が飛び出ている。
勿論、ナツだ。
「………え、ナツ?あんた何してんの?」
「あ、そっか。ナツってば幽霊とか苦手だったよね」
ハッピーが爆弾を落とした。
「はああああああ?!ナツ幽霊苦手なのおおおお?!」
「うううううるせー‼︎人間一つや二つ苦手なもんあんだろー?!」
ガバリと顔を上げたナツは恥ずかしさのあまりか、顔を真っ赤に染めている。
よく見れば若干涙も溜まっている。
ぎゅうっと更にグレイにしがみ付き、顔を埋めるナツ。
そしてそれに悶え始めるグレイ。
そんな二人を眺めるルーシィとエルザにハッピー。
エルザもまさかのカミングアウトに驚いているようだ。
「ナツでも怖いものはあるのだな」
「すっごい意外だけどね」
「ねぇねぇ、それよりどうするのー? ナツだけおいて行くなんて可哀想だよ」
「そうよねぇ……じゃあ離れそうにないしナツとグレイがペアでいいんじゃない?」
「ナツ、グレイとペアで文句は無いな?」
エルザの質問にナツはコクコクと頷く。
こうして、ナツ、グレイチームとエルザ、ルーシィ、ハッピーチームで肝試しを行うこととなった。
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