短い

□寒いさむい、暖かい
1ページ/3ページ


どんなに寒い雪山でも、そんなところで裸になろうと感じることのなかった感覚。
寒いとは昔ウルの元で初めて雪山で裸になった時以来感じることなんてなかった。

氷の造形魔導士だし、自然と体も冷たくなる。
風邪も2度と引かないと思ってた。
けど、

「今日は……体が重いな……」

しかも布団に包まってベッドに入っているのに、寒さを感じる。

「……ダルい……けど、今日はクエストが…早く行かねぇとエルザがうるさいな………」

動きたくないと体が訴える。
だが、鞭を打って着替える。

「……ナツにバレなきゃいいけどな……」

意外と自分のことを見てくれている可愛い可愛い恋人に心配をかけるわけにはいかない。
いつも通り接しなければ。



妖精の尻尾ーーー

「グレイおっせーなぁ……」
「珍しいよね。グレイが遅れるなんて」
「もしや……何者かに襲われたか?」
「あい!でもグレイ強いし、大丈夫だと思うよ」

準備万端でグレイを待っているいつも通りのギルド最強チーム。

普段ならば遅れて来るのはナツとハッピーなのに、今日に限ってはグレイ。
さすがのナツも不安の色を顔に浮かべている。

「(早く来い………グレイ……)」

ふと、嗅いだことのある匂いがした。
扉の方へ目を向けると丁度グレイが入って来た。
ホッと一息ついてグレイに近づく。

「おっせーぞグレイ‼︎ 俺も待ったんだぞ‼︎」
「あぁ? 悪かったな。つかナツが俺より先とか、明日は雨か?」

なにをーー‼︎ とナツが息巻いていると、エルザとルーシィ、ハッピーもナツたちの方へ近づいて行った。

「遅かったなグレイ。道中何かあったのか?」
「あ?なんもねーけど。……つか俺そんなに来んの遅かったか?」
「あい。いつものグレイならありえない遅さだったよ」
「ナツも心配してたんだから。ね」
「なっ‼︎俺は別にグレイの心配なんか……!!」

照れてるナツ。
やはりルーシィの言うとおり、心配してくれていたのだろう。

「ナーツ。照れんなって。心配してくれてサンキューな。何もねーから」
「………だから心配なんかしてねーし……ん………?何かお前今日体温高くね?」

しまった……。嬉しさのあまりナツに抱きついたのが間違いだった。
エルザも、そういえば顔も少し赤くなっているなと指摘してくる。
ルーシィが自分の手のひらを俺の額へかざす。

「あつ‼︎ あんた熱あるならそう言いなさいよ‼︎ 休んでたほうがいいって‼︎」
「うるせーな。大丈夫だ。ほら、さっさと行こうぜ……っグハッ!!!」

エルザに思いきり殴られ、意識が遠のいて行く。
あーぁ。俺一人留守番か………。





.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ