ホヒンダ短編集( ´艸`)
□さよりん×コタロウ 2人を繋ぐFirework
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夏!!
夏といえば!!
海!!
スイカ!!
無駄にうるさいセミ!!
そして………花火!!
などなど………ここからさらに想像が膨らんでいくことだろう。
ここ、ホヒンダ村でも、今週の土曜日に花火大会が開催される。
今年は例年と違い、大会のフィナーレに超極大花火が打ち上げられるらしいので、ホヒンダ村の住民だけでなく、周辺の村の住民達もその日が来るのを今か今かと待ちわびていた。
で、そのホヒンダ村のオーナー兼村長であるさよりんは、その準備も何もしていないのである。
こんな事実、もし現実で知られたら、住民のクレームの嵐だ。
しかし、実際住民達はそれを知っていた。
にも関わらず、さよりんにクレーム一つ言わないのである。
どんだけ広い心を持っているんだと感心したくもなるが、これは彼女の性格上仕方のない事なのだ。
秘書であるしずえさん曰く、
「さ、さよりんさんに手伝わせるのはちょっと………
だってあの人、この前公共事業の作業を手伝わせたら、全くもって違うものできちゃったんですよ?
花火大会の準備なんてもってのほかですよ。
花火大会を尻相撲大会にさせたくないでしょう?
あ、ごめんなさい、これは他言無用でお願いしますね?」
最後の例えは余りにも非現実的であったが、さよりんであるから、住民達は納得してしまった。
その危険度の高さに。
なのでさよりんの代わりに、住民達が花火大会の準備をしていた。
そのことも、さよりんには言っていない。
今日もさよりんは村を走り回る。
ふんばばー!!という謎の雄叫びを上げて………
そんなさよりんの足を止める知らせが入った。
ケータイの着メロが鳴り響く。
男の一人酒だ。
「んー?誰かな。
……………コタロウ……??」
さよりんは通話ボタンを押し、携帯を耳に当てた。
「もしもし?どしたの?」
さよりんが聞く。
「あのさ………」
「ん?何?」
「今週の土曜日さ。
花火大会あるでしょ?」
「うん、あるね。
今年はでっかいの上がるんだよー!!」
「…………一緒に、見ない?」
その瞬間、さよりんの脳内は一瞬にして沸騰した。
顔がかなり紅潮している。
それも無理はない。
さよりんは、コタロウの事が好きなのである。
「わーーー!!バカ言うなーーー!!」
「さよりん……??どうしたの?」
「あ、ごめん、ななな何でもないよ」
地の文に思わず反応してしまうほど好きで好きでたまらないのである。
「行ける?」
「う……うんうんうんうんうん!!
もももももちろんだよ!!!!
行こう行こう行こう!!!!」
「うん。
んじゃ、博物館前で待ってるね」
そして、通話は途切れた。
さよりんは、恥ずかしいやら嬉しいやらで大変なことになっていた。