zzz

□幸運の雨。
1ページ/3ページ







あー飴食いてぇ。





俺が廊下の窓に肘付きながら、そんな事思っているとーーー






『孝介ー。はい。これあげる。』



そう言って、俺の頭の上に飴が置かれた。

飴を置いてきたのは、幼なじみで2年の名無しの。




俺が好きな人ーーーーー。





「……………。」




俺は無言で飴を取った。
お礼くらい言えばいいのに、出てくる言葉はいつもーー




「何で、ここ来てんの?」



こんな突き放した言い方しか言えない。
それでも、名無しのは優しく返してくれる。





『移動授業だったから、ついでに飴あげようかなぁと思ってね。』

「ふーん。」

『じゃあ、もう行くね。部活頑張ってね。』




そう言って名無しのは、俺の髪をくしゃくしゃっとして行ってしまったーー。




俺が名無しのの後ろ姿を見ているとーーー




「泉ってさ、名無しのに冷たくね?」

「うるせぇ浜田。」

「ひどっ!」

「ってか何、名無しのの事呼び捨てにしてんの?」

「いやいや、だって去年…名無しのと同じクラスだったし…」


同じクラスってだけで、名前呼びーーー。




ムカつく。



そう思った瞬間、俺は浜田を殴っていた。


浜田はギャーギャー言ってたが、俺には関係ない。







_
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ