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□幸運の雨。
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あー飴食いてぇ。
俺が廊下の窓に肘付きながら、そんな事思っているとーーー
『孝介ー。はい。これあげる。』
そう言って、俺の頭の上に飴が置かれた。
飴を置いてきたのは、幼なじみで2年の名無しの。
俺が好きな人ーーーーー。
「……………。」
俺は無言で飴を取った。
お礼くらい言えばいいのに、出てくる言葉はいつもーー
「何で、ここ来てんの?」
こんな突き放した言い方しか言えない。
それでも、名無しのは優しく返してくれる。
『移動授業だったから、ついでに飴あげようかなぁと思ってね。』
「ふーん。」
『じゃあ、もう行くね。部活頑張ってね。』
そう言って名無しのは、俺の髪をくしゃくしゃっとして行ってしまったーー。
俺が名無しのの後ろ姿を見ているとーーー
「泉ってさ、名無しのに冷たくね?」
「うるせぇ浜田。」
「ひどっ!」
「ってか何、名無しのの事呼び捨てにしてんの?」
「いやいや、だって去年…名無しのと同じクラスだったし…」
同じクラスってだけで、名前呼びーーー。
ムカつく。
そう思った瞬間、俺は浜田を殴っていた。
浜田はギャーギャー言ってたが、俺には関係ない。
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