U
□右腕
1ページ/4ページ
石畳の街 夕暮れ
「私の右腕を探してくださらない?」
「…」
「私の右腕を探してくださらない?そこのあなた。」
「…腕ならどこでも生えてるじゃないか。そこら辺のものを失敬すればいいだろ。」
「何でも良いわけではないの。」
「自分で探しな。いいもんが欲しけりゃ買いに行けばいいだろ。」
「一つしかないのよ。」
「…」
「あの指輪は」
「腕を探しているんじゃなかったのか?」
「そう。世界に一つしかない、大事な指輪を嵌めている私の大事な右腕よ。」
「世界に一つ…そりゃ大変だな」
「私の右腕を探してくださらない?」
「それを見つけ出したら何か報酬を支払ってくれるのか?タダ働きはごめんだ。」
「もちろん」
「何を」
「私のこの右目をあげるわ」
「右目を?」
「ええ」
「…あんたみたいな実体があるトクベツが持つ目。そりゃ高く売れそうだ。」
「引き受けてくださるの?」
「ああ。いいぜ。」
「これは指輪の特徴を記したメモです。七日後の同じ時刻にまたここで会いましょう。」