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□右腕
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石畳の街 夕暮れ



「私の右腕を探してくださらない?」


「…」


「私の右腕を探してくださらない?そこのあなた。」


「…腕ならどこでも生えてるじゃないか。そこら辺のものを失敬すればいいだろ。」


「何でも良いわけではないの。」


「自分で探しな。いいもんが欲しけりゃ買いに行けばいいだろ。」


「一つしかないのよ。」


「…」


「あの指輪は」


「腕を探しているんじゃなかったのか?」


「そう。世界に一つしかない、大事な指輪を嵌めている私の大事な右腕よ。」


「世界に一つ…そりゃ大変だな」


「私の右腕を探してくださらない?」


「それを見つけ出したら何か報酬を支払ってくれるのか?タダ働きはごめんだ。」


「もちろん」


「何を」


「私のこの右目をあげるわ」


「右目を?」


「ええ」


「…あんたみたいな実体があるトクベツが持つ目。そりゃ高く売れそうだ。」


「引き受けてくださるの?」


「ああ。いいぜ。」


「これは指輪の特徴を記したメモです。七日後の同じ時刻にまたここで会いましょう。」


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