執事たちの部屋

□佐々木Butler
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【大人というモノは】






栞は、ご存じの通り『Butler’s Room』という会社を立ち上げている。
かくして、部下(全て執事だが)の質やスタイルの方針を決めるのも栞である。



「なぁ、」
「何かしら」
「執事作る仕事してるけど、雇う決め手は何?顔?スタイル?中身?」
「うーん、一応そのすべては通ってもらわないも困るわね、だから一つでもかけたら養成所に一年通ってもらうわ。養成所時代は、先輩執事の補佐をして現場を学ぶのよ。」





ほら、と資料を出したのは、この度新米執事としてButlerデビューした福士蒼汰の履歴書。トレーナーの名前を見て、ゲッという顔をした佐々木。





「あら、西島は良いトレーナーよ?執事としてもすばらしいわ。彼くらいね、養成所通わなくてプロになったの」
「なーんか、その言い方ヤな感じやわ。」
「妬いてるのかしら」
「当然」





目を背けて資料を返す佐々木。

すると、コンコンっと社長室の戸を叩く音がした。すぐさまダラッと座っていた佐々木はビシッと栞の左後ろに立つ。




「どうぞ」
「失礼します」
「うーわ(小声)」





小さく呟いたも当然、来たのは西島秀俊という長身のワイルドな人気bP執事だったからだ。





「福士の初動任務が完了しました。」
「ありがとう。なにか気づいた?」
「最初の頃より堂々としています。今回のお嬢様にお気に召していただいたようで」
「そう。うまく行けばお買い上げかしら」
「と、思います」
「ありがとう。そうね、次の養成所の子を預けるわ。三浦翔平という子よ。よろしくね」
「はい、かしこまりました。」
「佐々木」
「はい」




不意に呼ばれて少し焦る佐々木。そんな様子は微塵にも出さないが。





「西島は優秀でしょう?人気bPでひっきりなしにオファーが来るわ。」
「存じております」
「光栄です」




佐々木は少し会釈をし、西島に敬意を示す。そんな佐々木に西島も会釈をする。




「西島、佐々木は優秀な執事よ。私のすべてを把握しているわ。」
「存じております」
「…光栄です」





先ほどとは逆の工程で会釈しあう。




「西島も、佐々木のように誰かに専属で就けばよいのに」
「私は、ご遠慮させていただいています」
「また、何故でございましょうか」





佐々木が口を開く。栞の頭上で視線がバチバチと絡み合う。





「私は、佐々木様のようにある種、栞様にお仕えしておりますゆえ。他の方に専属で仕えるなど」




西島は佐々木を見据えてこう言った。





「栞様への愛がないことになる。」





失礼いたします、とお辞儀をして去る西島。






「主君への忠義は神懸かっているわ」
「違う」
「?」
「ちゃうんや、あいつは、俺にさっきの言葉吐いて笑いよった。」
「そう」
「ほんまに栞が好きなんや、忠義なんとちゃう。俺の場所狙うとる。」






クスクス笑って栞はこう言った。





「私を取り合うのも良いけど、佐々木ももう少し大人になっては?」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(俺は絶対嫌やからな!あいつと取り合うなんて)
(あらやだ、自信ないの?)
(あるわボケ!)
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