執事たちの部屋

□玉木Butler
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世界の大富豪の一つに鷹島グループがある。
ホテル、レストラン、遊園地、他にリーズナブルで庶民に親しまれるブランドやブライダルプラン、などを兼ね揃えた巨大財閥には、見目麗しい令嬢がいた。






【その執事、魅惑的】




「お嬢様、お目覚めの時間でございます」




執事の玉木は、仕えて10年の主人、栞の眠るベッドへと近づく。




「お嬢様、朝でございます」
「もうちょっと...」
「もうちょっと。。。でございますか」






そう言って、さっと白い手袋を外す玉木。次の瞬間、我が主、栞の脇腹へとその両手を突っ込んでくすぐり始めた。




「わああああああ!あひゃっちょっ!まっ!待って!待って!宏!待って!起きるから!」
「最初からそうなさればよろしいのに」




ふう、とにやける口元を隠しつつ玉木は手を差しのべる。




「おはようございます、お嬢様。今日も見目麗しゅうございますね。」
「寝起きでそんなわけないでしょ!」





ぷんすか怒る主人にクスリと笑いながら、「そんなところも愛らしい」と呟く。





ところかわり、お嬢様、こと栞は、いそいそと照れる表情を隠しながら着替えていた。




「まったく何なのよ!人の気も知らないで体触りまくっちゃって。」





小声で怒っても地獄耳の玉木には丸聞こえだ。





「お嬢様、何を赤くなってらっしゃるのです?執事がお嬢様に触れるのは普通でございましょう」
「その普通にかこつけてやたらめったら触るから困るんでしょーが!」
「なぜ困るのです?」
「あんたほんっと意地悪ね!底意地の悪い悪魔!そゆとこ大嫌い!」





叫んでからハッとして後悔する栞。大嫌いなわけない、むしろ大好きだ。こんな執事他にはいないしどこへもやりたくない。財力とステータスだけでここに留められるのならばそれでも構わないとさえ思うほど、玉木は魅力的な執事であり、もとい男性である。






「私のこと、お嫌いですか」
「き、嫌いよ」




また反対の言葉が口を吐く。




「私はこんなにお慕い申し上げますのに。」
「しっ...慕われたって...そっ、それは/////お嬢様だからでしょ!ご主人様だからでしょ!」
「本気でそう思っておられます?」






玉木はどこからかメガネを取り出し装着させ、グイッと栞に近づく。




「ちょ、宏!メガネ外しなさい!どうなるかわかってんの?!」
「そのうるさい口を黙らせてやろうか」
「ひっ、宏...」
「つべこべ言わず、俺のこと好きって言えよ」
「宏?あの、メガネを」
「俺から離れらんないんだ、黙って仕えられてろ。あと、嫌いとか嘘つくな。地味に傷つく」
「ごめんなさい、あの」







そう言って玉木はメガネを外した。





「素直なのが何よりでございます、お嬢様」





この執事、メガネをかけると人格が豹変するのだった。栞は何度も被害にあっている。

どちらの玉木も好きなのだが、こうも責められると好きが止まらなくなるのが女の性(さが)。






「宏、好きよ?」
「存じ上げております。私も、お慕いしております」
「私のそばから離れないでちょうだいね」
「消えろと言われても、お傍を離れない所存にございます」






そう言って、栞の手の甲に誓いのキスをする玉木だった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(お嬢様のツンデレなところも愛らしい)
(あなた変な趣味ね)
(お嬢様、人は好きな人ほどいじめたくなるものでございます)
(すっ、好きなさい/////)
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