夢小説。そして……

□ありがとう。
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それから沢山話しをした。

わだかまりを解すように。
二人の間を埋めるように。



「それで……?おれ達の未来、どこまで知ってんだよい」


予言者でもない私にそんなことを真顔で聞いてきた彼に
ここまで……です。と真顔で返した言葉。いつもみたいに「よい」とだけ返事が返ってきて
何やら考えているようだった。




既に幾日か経ち
散り散りになっていた傘下の海賊団も続々とちっぽけな島へと集まってきていて
その光景は圧巻としか言い表せない。
皆が一様にオヤジさんの墓に向かって涙した。
思わずグッときては抑えた。
もうその頃には
マルコさんは普段の寝ぼけたような表情をしていたし、
それぞれを迎えるのに涙をみせたりはしなかった。
ただ残された人達を宥めて纏めるのに徹している彼を見ていると
やっぱり大人だし、自分の存在が無力と言うか、無駄に感じるほど。


私の方もギクシャクしている感はあるにしても
クルーと少しづつ距離を縮める努力だけはしていた。
隊長達は気落ちはしていても
相変わらず優しくしてくれるし
他のクルーにはピエールがかなり話しをしてくれたらしかった。
色々あったけど最終的には一番頼りになって感謝している。



そして
ある日の朝方
思い腰を上げたシャンクスさんが
墓の前に立つと
マルコさんもそこに並んだ。

「…すまん

赤髪…何と礼を言ったらいいか…」

見上げた先のオヤジさんの服が風になびいていた。

「つまらねェ事を言うな…
敵でも“白ひげ”は敬意を払うべき男さ…センゴクですら そうだった

───じゃ、おれ達はもう行く…」

一瞬シャンクスさんと目があった様な気がした。
バサッと服を翻して後ろを向くと
白ひげ海賊団、それから傘下の人達がサァっと一直線に道を作った。

あぁ…ここは見覚えがある。
そう思いながら彼が歩き始めるのを待った。

「………ああ、ありがとよい」

呟くように素っ気なく聞こえるそれが
マルコさんの精一杯のお礼なんだろうな…と
近くまで行って顔を見上げると
私の頭をガシガシと撫で付けてニッと笑った。

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