夢小説。そして……

□好きな人。
1ページ/1ページ



どれくらい抱き合っていたのか……
何度マルコさんに声をかけようと思ったか。
何度彼の顔を覗こうかと思ったか。
何度……正座の体勢が正直キツイ。動きたい。ちょっとだけ離したい。と思ったか……。

いつの間にやら宴の火も渇れて
それぞれが雑魚寝をはじめていた最中

やっと体を離した彼は
涙を見せる訳でもなく
寂しげな表情をして私を見つめた。

『……マルコさん……』

すみません、足が……と言いそうになって堪えた。
彼は表情で返事をして私の言葉を待っていた。

『ずっと分からなかった事があったんです……。何で私はここに来たのか、マルコさんに着いてきたかったのか、…何でマルコさんが………好きなのか……って事です』

表情を曇らせた彼は
体を海の方へと向けて座り直した。
私もそれに続いて
やっと正座を崩せると海に向かうと
痺れで姿勢を維持できずに彼の片側に寄り掛かってしまった。
慌てても動けないので、そのまま痺れに耐えた。
少しの間沈黙が続いた。
と言うか、それどころじゃない痺れだった。

「何で……なんだよい」

マルコさんもしびれを切らし始めた…。
一度頭を撫でた手を私の背後に支えるようにつくと
もう片方の手で私の顔を自分の方へと向かせて、もう一度何故なのかと問われた。
意識してしているのかどうかは定かではないけど
そういう動きが本当に罪作りだと思いながら

珍しく彼の目だけを真っ直ぐに見つめた。

『言葉にして説明するのは難しいんですが、……簡単に言うとですね……
多分、私はマルコさんが笑ってる所が好きなんです。近くで見ていたいんです。………思いの外 下らない理由ですよね……すみません』

彼は鳩が豆鉄砲くらったような顔をしている。と言うか、元々そういう顔なのかもしれない……?

一瞬複雑そうに顔を伏せて
顔をあげると彼は苦笑いで笑ってくれた。
……今は本気で笑えないとしても
それでも…これから
きっと心から笑ってもらえる日が来るように
頑張ろうと思った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ