夢小説。そして……

□あの日あの時。
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1枚の紙切れは
日に日にその形を小さくしていった。

少しづつ焦げるように小さくなるその紙を見る度に
走馬灯のようにエース君にいたぶられた日々を思い出して
悲しさが込み上げて
それが押さえられないから仕方ない。


今日も美しいばかりの風景が
果てしなく続く島の小高くなった中央に座って
出来る限りの遠くを見つめた。

小さくなりつつある紙は
主の面影を捜してそちらに引き寄せられる。
だから
彼がどちらに居るのかは分かっていた。

新聞のニュースと照らし合わせると
今はインペルダウンに居る頃だろうか…
それともアナログな方法で配達しているから最新ニュースではないのかもしれないし、もう戦争が……

一瞬ぞっとしながら
紙の方を見つめた。
この紙がある限り彼は生きているのだから。そう落ち着けて
また海の先を見た。


刹那
ふとその紙の裏側を見て
「愛してくれてありがとう」と
一瞬見えた次の瞬間
その紙は
ざっと炎に包まれて
そして燃え尽きた。


あまりにも急で
息をするのも忘れるくらい
ただ

ただ真っ白になって

何も考えてないはずなのに
大粒の涙が流れて止まらなくなった…。


幾晩かが過ぎて
私の涙が枯れた頃
見覚えのあるマークの掲げられた船が
こちらへと近付くのが見えた。

遠くからでも見間違える事のない
その海賊旗は
シャンクスさんの船のそれ。

どうした顔で迎えるべきかと
気持ちを落ち着かせる努力虚しく
その船はゆっくり確実に島へと向かってきて
心の準備もできないまま
彼らが降りてくるのを見守る事しかできずに
多分端から見たらアホみたいな顔をして
見上げていたんだと思う。




まず真っ先に
マルコさんは私に気が付いて
そして駆け寄って
私の肩をギュっと強く掴んだ。

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