夢小説。そして……

□運命の日に。
1ページ/1ページ



街のはずれに
小さなボロの廃墟があって
そこには
もう何年も人が住んでいないのだと聞いて
そこを寝床に選んでから
どれだけたったのか……

海が大パノラマの
眺めの良い浜の近くで

心はすっかり海人だった。
数年前まで山人だったとは思えない。

街の人達は優しく良い人が多くて、まるで家族のように迎えてくれた。

あの海賊団のように。

人一倍働いて、色々な事を学んで、ガラでもないニュースクーの新聞に目を通したりなんかして……



この世界の時間は
向こうのソレとちょっと違って
ゆっくりとまったりと進んでいくから
毎日、不思議なくらい心は穏やかだった。



部屋の窓辺のコルクボードに
何枚かの紙を貼ってある。
白ひげ海賊団のニュース記事があれば
かかさず切り抜いてそこに貼っていたし、
皆の手配書が貰えた時なんかも貼っているし、
あと、大事な紙切れもそこに貼ってある。

ふとした瞬間
例えば、目が覚めた時とか
出かける前とか
帰ってきてとか……
そんなタイミングに
つい見てしまう場所になっていた。



そんなある日
いつもの日課でそこに目を向けると
そこにあったはずの
一枚の紙切れが無くなっている事に気が付いて

時間が止まったように立ち尽くした。


それが何を意味するか、
嫌という程夢に見た。
いつもの悪夢であって欲しい…
握りしめた拳は
じっとり湿って
伸びた爪が手のひらに刺さって痛いから
これは現実だと
痛感させられた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ