夢小説。別れ

□そんな伝え方も。
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やり残したアレやコレなんかは
島も見えてきてる今更
どうしようも無いような
そんな事だけ。

私は何も言わずにラクヨウのおっちゃんに苦笑いをして
それから島をみつめた。
ドキドキとした胸の音は
これからの人生の心配なのか
それとも今までやり残した後悔の結果なのかは定かではないけど

何にしても
非力な一般人の
一応……女が変えられるような
簡単な宿命でない事くらいは
嫌と言うほど分かった。


「どうせお前の事だ。なんか1人で抱えて、結局何も言わねェンだろうな。……けどよォ」

頭を鷲掴みにして
私の体をぐっと引き寄せたおっちゃんは
小さな声で耳元に言葉を残した。

「マルコだけには全部話しておけよ………」

最後の忠告でもするように
ドスの利いた声で言った。
そして、猫を撫でるみたいに
やわやわと髪を撫でると
さーて、酒だ!!と1人でその場から去っていってしまった。


マルコさんにだけは……か。
心に残った言葉ではあるけど
それを言って何になるのかと
今更ながらに迷った。


何を言えばいいのか
きっと彼の前では口が動かなくなる事だけは
何となく分かってたから。


不意に思い出してポケットからだした紙切れを見て
あぁ、そうだね。口で言うだけが伝える方法ではないよね。
と、軽く笑った。

何を伝えたら
私の気持ちが伝わるだろうか

そうだな……パイナップルでも描いておこうかな………。

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