夢小説。発展

□告白と脅迫。
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おれの事を知っている!?
まぁ、手配書も出回っているから知っていたとしても不思議ではない。
もちろん、おれを知っているともなれば海賊だという事も
“どこ"に所属しているかも知っているはずだ。

それでビビって逃げられても面倒だ。

できる限り穏和に表情を作って
女の出方を伺う。

最悪縛り上げてでも薬を手に入れなくては………

「ま……マルコ様ですよね……」

様??
俯きながらそう聞かれ、おれは戸惑いながらも、よい。と返事を返した。

それを聞くと、女はパァっと明るい顔をして
おれの顔をマジマジと見つめた。

「………薬が欲しいんだけどよい……」

女に逃げる様な素振りがない。
それは良いが、商売する気もない。
おれの言葉を軽く無視して
本物!?とカウンターから出て
おれの周りをぐるりと回って
そして微笑む。

まるで天使の様に。多分男なら大概イチコロなやつだ。

そんなもんどーでもいいよい!!!早く薬をっ!!!

イラつく気持ちを抑えながら
手を握り締める。
ここでキレたら逃げられるだろうからねい………。
大きく深呼吸をして
カウンターの中を見る。

「薬を……解熱剤を探してんだよい。あるか?金ならちゃんと出す…………」

女は勿論です!!と、すぐにカウンターに入ってガサゴソと引き出しを開けて、何種類かの薬を取り出して
刹那、動きを止めた。

「どうしたよい?」

逸る気持ちを抑えて尋ねると、
くるりとコチラを向く。薬は後ろ手に隠している。

「…………マルコ様!!お願いがあるんです!!」

お願いだ!?面倒くせェ却下だよい!!
流石に薬を目の前にそれは言えない……

「………なんだよい」

「………私を………私を連れて行って下さい!!」

…………………はぁ?
何とち狂った事を言い出すんだコイツ

今さっき出会ったばかりの街娘を何で海賊にしなきゃならねェ…………***は例外だが。

「ずっと………手配書を見ていて、その……マルコ様のこと………お慕いしてきました……」

恥ずかしげに顔を赤らめる
だから何か?船に乗っておれについてきたいってことかい?
薬をネタに海賊脅すたァ中々肝の据わった娘だ。

おれはフム。と一つ頷いた。

「断る………と言ったら?」

女は辛そうな顔をして数秒押黙ると、すがる様な目をしながら言う。

「この街には薬屋はここだけです」

確信犯かよいっ!!!
この野郎おれが拒否できないと知っていて言ってやがる。

こちらの苛立ちも既に抑えが効かない。
むしろ今までよく我慢したと褒めてやりたいくらいだ……。

顔の作り笑いも剥げて、不快一色になっているおれを目前に
それでも諦めた様子のない女の気持ちだけは伝わったが
乗せてやるつもりは毛頭ない。

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