夢小説。発展
□期待と不安と騒音と。
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風邪をひくと人肌恋しくなると言うか
我儘になると言うか。
マルコさんがお見舞いに来てくれるんじゃないかと
変に期待してウキウキしていた。
横を見ると、宴会真っ只中。
ドクターまで酒を煽っている始末。
それでも良いんだ。
良く言えば楽しい奴らじゃないか。
きっとその騒ぎを聞きつけて
マルコさんが止めに入ってくれるはずだ。
きっとそうに違いない。
そう…思い始めて早2時間は経とうとしている。
おっかしいなぁ………。
まだ来ないのかなぁ………。
「 ***!お前も一杯やれ !」
完全に出来上がってるおっちゃんは
酒の匂いを振りまきながら私に擦り寄って
ジョッキを頭の上にゴツンと置いた。実に楽しげ。
サッチさんが止めに入ると
冷たい事言うなよ!と突っぱねた。
完全に病人という事を忘れてるね。
「そーいやァ、マルコのヤツがお前を頼んだって言ってたなァ」
口元にジョッキをあてながらニヤリと笑う。
「あんなに焦って…… ***を見もしないで行くこたァねェだろうによ〜」
……………は?…………え?
期待して待ち続けた人は
もう この船に居ないのだと
知ったのが
こんな酔っ払いからだと……
受け止められないんですけど。
今朝方、次の島の下見に行くとは聞いたけど
そうか………なんだ………もう行っちゃったんだ………。
宴会で盛り上がってる皆も口々に
冷てェ奴だ。とか何でこんな時に限って?なんて
私の心を代弁するような事を言うものだから
私は布団を目深に被って
目を閉じた。
普段ならなんてことない筈なのに
今は苦しくて耐えられない。
少しでも側にいて欲しかった。
「にしてもだ。まだ島も見えて来ねェってのに行っちまうかな…」
サッチさんは人の不安を煽る様に付け足す。
「溜まってんじゃね?」
エース君が大人ぶってサッチさんに笑いかけると
それはねェ………いや、あるかもな………と何とも曖昧な返事を返した。
コレ新種の拷問プレイでしょ
何か泣けてきた。