夢小説。発展
□知る。
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バタバタバタバタ…
廊下の方が騒々しい。
気にもせずにデスクに向かって作業をしていると
バタンっ!!と勢い良くドアが開けられ
誰だよ、と厳し目の表情を作ってそちらを確認すると
息を切らして入ってきたのは婦長だ。
「………何事だよい?」
目一杯驚いて言葉を待つ。
婦長は息を整えて、ホッとした様に笑顔になる。
「良かった!偵察行くって話しだったから、行っちゃってたらどうしようかと……」
前置きはいいよい。と、本題を急かす。
「今、解熱剤が切れていて……次の島で調達しようと思っていたのだけれど、すぐに必要なのよ!マルコ、行ったついでに買ってきてちょうだい!!」
熱ごとき……それが例えばオヤジに必要な薬だったのならまだしも
ほんの数日で手に入る物だし、もしかしたらソレを持ち帰るまでに治るかもしれないだろうに………
そんなに焦る様な物かねい。
おれは深く息を吐いて
よい。とだけ返事を返すと
またデスクに向った。
「………お願いね?………それ使うの ***ちゃんなんだから……… 」
………………は?
今なんて……
既にドアを閉めようとしていた婦長をひっ捕まえて
おれの方に向かせる。
「 ***に??そりゃどーいう事だよい 」
朝方…………
そう言えば、アイツ…
咳もしてたし、今思えば顔も赤かったかもしれない。
自分の用件を告げる事だけで
アイツの反応を愛おしく思うだけで
全然気付いてやれなかった……
本当なら一番に気付いてやるべき立場なのに
「今朝、サッチが甲板で倒れてたの見つけて連れてきたのよ。結構熱もあるから……」
そこまで聞くと
おれはいてもたってもいられなくなって
そのまま婦長を残して
足早に部屋を出た。
医務室のドアに手をかける。
どんな顔して会えば良い?
今おれが行って何になる?
今おれに出来ることは?
…………薬を一刻も早く
持ってくる事だけか。
ドアにかかった手に力が入るが
グッと堪えて
その場から離れた。