青いひよこの夢

□逃避行
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「ねぇ次元、逃げようか2人で」
情事の後開けた窓から差し込む月光に照らされながらベッドに横たわる俺を見てルパンは言った
ふぅーっと白い煙を吐くぐりぐりと灰皿に押し付けて煙草を揉み消す
「何処へ逃げるってんだ?」
「どっか遠いとこ」
「具体的に」
「んー誰にも邪魔されなくて穏やかで2人だけになれるところ」
ルパンは真面目な顔して言う
「馬鹿かそんなとこないよ大体そしたらお前さん仕事はどうするんだよ」
「何で?きっとあるよ?俺達だけの場所。仕事はそうねたまにやって後は蓄えで静かに次元と暮らす」
「そりゃ引退ってことか?」
「んーまぁそう?」
「はぁ…俺はそんなお前さんには興味ないぜ?」
「…嘘つき次元は嘘つきね」
「はっそりゃまぁ泥棒ですから?」
「ははそりゃそうだけど(笑)でも案外いいかもって思ったでしょ?」
「思ってない」
「…素直じゃないなぁ」
ルパンは少し諦めたように呟いて窓辺に腰掛けて月を見ている
そんなルパンを見つめてほんとはルパンがそうしたいならそうしてもいいって思ってるのは内緒でも本当にそうしたら不二子や五エ門、それにとっつあんにだって会えなくなって、そしてルパンの血は途絶えてしまうそれは嫌だった
「…ルパン別にさ俺はお前さんといられればそれでいいし何処だっていい」
「なら」
「けど不二子や五エ門それにとっつあんに会えなくなるのは嫌だな」
「…」
「俺は今のこの生活が気に入ってるから」
「そうか…んー!やっぱりなー」
「やっぱりって分かってたのかよ」
「まぁ大体はね(笑)でもしたかったなー次元と逃避行」
「なんでそんなのしたいんだよ」
「だって恋人っぽくない?そういうの」
「…別にそんなことしなくたって」
「俺達は恋人?」
「…ぅん」
「そうなんだけど普通の恋人みたいな事がしたくなったの」
あっそうかルパンだって何も知らないで街を歩く無邪気な恋人同士なのをやりたかったのか。まぁ俺達は泥棒だし裏の人間だから特殊っちゃあ特殊
でも逃避行ってそれはそれで特殊じゃないか?でもルパンがやりたいなら俺に出来るのなら叶えてやりたい
「…じゃあ期間限定でやるか?」
「えっほんと!?」
「ただし期間限定だからな」
「やったー!次元ありがと大好きー!」
ルパンが駆け寄って来てそのまま押し倒される勢いで抱き締められる
「ったく…で?何処へ逃げるんだ?」
ルパンはふと窓の方を見て言った
「んーあっじゃあ月まで」
「はぁ?」
「月まで一緒に逃げようか。」
「月って宇宙だぞ?」
「うん知ってる」
「水とか食料とか色々どうすんだよ」
「それは俺様がなんとかする」
「…それでも却下地球上で頼む」
「ケチ」
「ケチじゃねえ」
「じゃあ地球上で月に一番近い場所…どう?」
「まぁそれなら」
「よしじゃあ決定!そうと決まれば!」
ぐいっと腕を引っ張られる
「えっ?あっちょっルパン!!」
ルパンは寝室を出て色々引っ張り出してきては鞄に詰め込んでいる
ぐいぐいと引っ張られて腕が痛い
「ルパン痛い!手離せ!てか今から行くのか?!」
「うん。だから次元も必要なもん纏めろほい」
放られた鞄を受け取って自室へ引っ込んでいつもの黒いスーツに身を包み仕方なく必要な物を詰め込んでいく
部屋を出るとルパンはいつもの赤いジャケットとスーツに身を包み俺を待っていた
「じゃあ行くぞ!次元!逃避行だ!」
そう言って笑いぱしっと俺の手を取るルパン玄関のドアを開け走る
繋がれた手からルパンの温度が伝わる嬉しいこんなのもたまにはいいかなと思った

君と月まで逃避行しよう

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