恋の距離
□心の闇
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リカside
「おはよ、裕太君!」
朝早く学校に行くと、すでに門の前には裕太君が居た。
軽く手を振れば、振りかえしてくれた。
「早いね、裕太君」
「そんな事ねぇよ?いつもこんくらいには余裕で起きて走り込みしてるくらいだし」
平然と言う裕太君に、少し関心してしまった。
しかし…………
ゆっくりと学校を見回すと、人っ子ひとり居ない。
「……やっぱ、誰も居ないよね……」
今から犯人を捕まえるのかと思うと……犯人に会うのかと思うと、 変な汗が出てくる。
「……大丈夫だから」
手に触れる温かいもの。
それは、裕太君の手で−−−
ギュッと強く握ってくれた。
手から伝わる裕太君の体温。
とても温かくて、優しくて 心地良い。
そして、ふいに思い出してしまった。
蓮との思い出を。
だけど、蓮と裕太君は違うんだって、そう言い聞かせた。
ふたりを重ねてしまうなんて、失礼だ。
ギュッと握り返せば、裕太君は優しく微笑んだ。
「オレ友達がぜってぇ守るから」
うん、信じてるよ。
だって、あたしが信用している友達だもん。