契約屋
□契約条件
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大好きだった。
大好きで大好きで仕方なかったのだ。
……ただ、それだけだった。
突然の知らせが来たのは、ついさっきの事だった。
――恋人である飛騨桐が交通事故にあって、命を落とし た――
桐のお母さんの声が機械ごしに聞こえる。
「……うそ」
嘘だ。
でも、実の母親が息子が不幸にあっただなんて嘘をつくのだろう か?
言われた病院に向かい、桐の名前を出せば病室に案内される。
「……京子ちゃん」
先ほどの声が直接耳に入る。
何度か会ったことのある、優しい雰囲気をまとった彼の母親。