ブラコン
□飢えていたんだ
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「棗〜、もっとビール〜♪」
「何本飲むつもりだ、椿っ」
昨日の夜から僕と椿は棗が一人暮らしをしているアパートに来ていた。棗の勤務しているゲーム会社に新作の、椿の好きな妹萌えゲームの試作品が出来たらしく、僕を引き連れて棗にもらいにいく…っていう用件で棗のアパートを訪れたんだけど、そのまま泊まる事になったのだ。
そして、椿は棗にビールを買ってこさせゲームのことやアニメのことなど話が弾み騒ぎながら今に至る。
丑三つ時…僕たち、特に椿は散々に酒を飲んで3人とも結構な眠気が襲ってきた。
「はあ…もう寝るか。」
話がひと段落つき、棗が言い出し寝室へと入っていく。
「そう、だね」
「ふあぁ〜」
僕、椿と立ち上がり寝室に行く。だいぶ酒が回っているようだ。少しフラフラするし、頭痛もする。
「で…どうやって寝んの?」
椿は寝室に入ると言った。
棗が普段使っているベッドの横の床に敷布団が二つ敷いてある。僕たちの為に棗が用意してくれたようだ。
「どう…って、俺がベッドでお前らが床だろ」
棗は当然だと、自分のベッドに手を付けた。
「はあ〜?意味わかんないし…‼ねえ、梓⁉」
「まあ、一応ここ棗の家だし…。でも、僕たちは『お客様』なんだけどね…?兄弟だからって少しぐらい良い扱いしてもらっても良いと思うけど?」
「そうだぞっ、棗‼」
僕の率直な意見に椿が乗って、棗を圧す。
「はあ〜、お前達は…。はいはい、分かったよ」
呆れ顏で棗は言った。
「じゃ、公平にじゃんけんでベッドに寝るヤツ決めよう決めないか?」
「うん、それが良いね」
「俺、じゃんけん自信あんだよね〜」
そして、結果は一発で決まった。