ブラコン
□分かっていたのに
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「・・・やっぱり、風斗くんの髪の毛、サラサラ」
「まぁね。俺、アイドルだし」
俺は今自分の部屋で、琉生兄に髪の毛のセットをしてもらっている。
時刻は早朝。
俺はこれから仕事なんだけど、今日の俺の髪のスタイリスト・・・ホント、ヘッタクソなんだよね〜。セットする時、髪痛いし。
だから、琉生兄に髪の毛セットしてもらうことなんて多々あるんだけど。
琉生兄のセット、全然痛くないし。むしろ気持ちいい。
兄さんにこーゆー人がいてくれてまじホント良かったわ。
「・・・はい。どう、かな?」
俺は目の前の鏡を見る。
「うん、いいかんじ」
相変わらず自分の顔なのに惚れ惚れする。やっぱり、げーのーじんだもんね。
「・・・お仕事まで、まだ、時間ある?」
「え?あぁ、まだ結構あるカモ」
「じゃあ、風斗くんの顔、お化粧しちゃって良い?」
「え?」
琉生兄にいつもやってもらってるのは髪のセットだけ・・・なんだけど。
「風斗くんの顔、綺麗にしたいな〜って・・・、ダメ、かな?」
下手なメイクがかりの奴より琉生兄の方がいいや。
「うん。じゃ、やって」
琉生兄は髪のセット用品をしまうと、化粧品を出した。
やっぱ、琉生兄もカリスマの美容師だもんな〜。
こーゆー化粧とかも、そっちの系統で得意なんだろうな〜。
「じゃあ、風斗くん。ファンデーションするから、目、閉じててくれる?」
「ん、オッケー」
俺は静かに目を閉じる・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・?
あれ、目閉じたのに塗らねーの?なんか琉生兄動き止まってね?
俺は軽く目を開ける。ぼんやりと視界が明るくなって・・・ん?琉生兄顔近くね・・・?
「んっ・・・!!」
何っ!?今のなんか唇に触れたっ!?俺は目を見開く、と琉生兄は普段どおり平然としている。
「琉生・・・兄?なんか、今・・・俺になんかしたっ!?」
「え?別に・・・何も、してないよ?」
琉生兄の口元は微かに笑っていた。
「そう・・・。」
俺は分かっていた。琉生兄が俺にキスをしたこと。なのになぜ、とぼけたフリをした?
それは多分、琉生兄から俺にキスをしたのが悔しかったから。
最初は、俺から琉生兄にしたかったのに・・・。ぞれが認められなかったからだ。