短編小説

□いいところは沢山
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「皆さーん、お疲れ様でーす!」


私は道場で大きな声で呼びかける。


「おう、ありがとうな」


そう言って新八さんが私のお盆から緑茶を一つ手に取る。


「いやー、姉御がいて本当に助かるよ」


笑顔で左之さんも近づいてきた。


「私に出来るのはこれくらいですから」


何から何までお世話になってるのに、このくらいしかできないのがむしろ申し訳ない。


緑茶を飲みながら、なあ、と新八さんが話しかけてきた。


「突然だけどよ…里香は平助のイロなのかい?」


「おいおい、何聞いてんだよ、お前は」


左之さんにどつかれる新八さん。


「えっと…イロってなんですか?」


「あれ、知らねえかい?女ってことだよ」


「……ええっ!?

違いますよ、そんなんじゃないです!

私が勝手に平助くんの世話になってるだけですよ!!」


私の言葉を聞いた新八さんと左之さんはへえと意外そうな顔をした。


「そうなのか…」


「まぁ、親近感は湧くだろうな…あの顔だし」


「ははっ、おいおい」


私は何度か瞬きをする。


あの顔…


それは多分女の人みたいなきれいな顔をしてるというのを指しているのだろう。


時々ここではネタにされているのを耳にしていた。


「ち、違いますよっ!!」


私はぶんぶんと頭を振る。


「そういう理由で平助くんの傍にいるんじゃないです!

平助くんは面白いし、自分よりも人の事を優先するくらい優しいし、落ち着くし、本当に親身になって考えてくれるし、か、かっこいいし、頼りがいあるし」


挙げたらきりがないくらい、平助くんのいいところは知っている。


「で?あとは?」


「あとは、いざというと時は守ってくれたりとか、って……え!?」


聞き覚えのある声に振り返る。


「よっ♪」

そこには笑顔の、でも心なしか顔が赤い平助くんが。


一瞬言葉をなくして、数秒経ってから状況をやっと理解してかあああっと頬が火照る。


「へ…平助くんのばかあああ!!」


と、あまりの恥ずかしさに走って逃げたのだった。



里香が走り去って、見えなくなってから、


「すげえ好かれてんなぁ、平助さんよ」


と新八がため息をつく。


「バーカw

ほら休憩終わりだぞ!

あと少し踏ん張れよー!!

終わったら今日は酒奢るぞ〜♪」


口こそ馬鹿というが、その顔は新八と左之がここ最近見た中でも一番の笑顔であった。


「機嫌最高潮にいいじゃねえか…」


「なあ…」


「いいよなぁ、平助…」


「羨ましすぎるよなぁ…」


「はははっ、やけ酒ならいくらでも奢るぜ♪」


満面の笑みで平助は稽古を始めたのであった。












―――以下あとがきです!―――







平助くんのここが好きっていいたかったのは主人公というより私!←
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