NOVEL(長編)

□セカンド・ラブ2
3ページ/7ページ

すると、外の方から誰かの話し声が近づいて来るのが聞こえた。
(兄ぃ達だ・・・・・・)
どうしよう、と緊張が背筋に走る。見つかったらどうしよう、胸の高鳴りに比例して身体中の筋肉が硬直する。
と、ふわりと熱い吐息を残して唇が離れた。
「あ・・・・・・」
逆上せた顔をして、松岡がぼんやりと城島を見やる。とんとん、と城島は自分の唇を指で叩き、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「邪魔者が来たからお預けや。どうしても足りない言うなら皆の前でしたってもええけど?」
「ばっ・・・・・・馬鹿!!」
ぼっと一気に真っ赤になって松岡が涙目に睨む。城島がクスッと笑って腰を上げたのと、ドアが開いたのはほぼ同時だった。
「シゲ、おはよう」
「おはようリーダー」
ひょこっと山口と太一が顔を出す。ドアに歩み寄りながら、城島も挨拶を返した。
「おはようさん」
「どっか行くのシゲ」
「おん、ちょっと用足し」
あの剽軽ないつもの調子に戻った城島が、ささっと二人の横を通りすぎていった。
「松岡ぁ・・・・・・おい松岡?」
太一が呼び掛けるが、松岡はぼうっと宙を見上げていた。
どうしよう、沸騰した体温が熱を引かない。松岡はぼんやりそう思いながら、半開きの唇をそっと撫でた。いきなりすぎてびっくりした。正直腰が抜けて手足に力が入らない・・・・・・。
「松岡っ」
ぎゅっと頬をつねられて、松岡は我に返った。
「ふへ・・・・・・お、おはよ太一君」
「何だよその間抜け顔は」
「いだだだだっ離して離して!!」
完全に目下の者を苛めるモードになった太一が嬉々として松岡のお仕置きにかかる。松岡はその容赦ない攻撃に悲鳴をあげながら、いつもの仲にすんなり戻った事にほっとした。
(正直これ見よがしに苛められるんじゃないかって思ったけど)
太一は山口と一緒になった事で満足そうだし、これでよかったんだ。胸の端にほろ苦さが残ったが、全てが円満にいくためには犠牲がつきものなのだと、松岡は自分を納得させた。
何事もなかったかのように太一と戯れる松岡を、畳の上に寝転びながら、山口が切なげな瞳で見つめていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ