NOVEL(長編)

□セカンド・ラブ2
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城島と付き合う事になった。
しかも、仮契約で。
(何なのよー・・・・・・)
家にあったガソリンを給油して城島を帰らせた後、松岡は火照った身体をベッドに投げ出した。
(あの人の考えてる事未だに分かんない・・・・・・)
慰めてくれたかと思えば急に求愛してきて。振り回されるこっちは溜まったもんじゃないのに。
——痛かったやろ。
傷たらけの手を取って撫でてくれた。その優しさが、はっと松岡の胸を強く突いた。
太一から、山口と別れるように毎日嫌がらせを受けて。山口はきっとわかっていた筈なのに何も言ってくれなかった、何もしてくれなかった。むしろ庇った相手が太一で、松岡の方が完全に不利な状況に追い込まれた。目の前が絶望で真っ暗になった。誰も分かってくれない、味方なんかいない——そう思っていたのに。
城島が気づいてくれた、それだけで大事にされていると感じた。嬉しかった。自分を好きだと言ってくれたあの言葉は嘘ではないのだと思った。あの瞬間、山口に対する執着などどこかに吹き飛んでしまった。
 とはいえ気持ちに応えたいのは山々だけれど、恋愛となると自分の気持ちが追い付かなければ意味がない。
(それに可愛くないって、捨てられるのはもう嫌だ・・・・・・)
素直になれなくて可愛く振る舞えない自分にいつか愛想をつかすのではないか。そう思ったら新しい恋にも踏み出せない。
深いため息を吐いて、松岡は天井をぼんやり眺めた。
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